係争中の不動産は売却できる?裁判・紛争を抱えたまま進める現実的な方法

ポイント

【結論】係争中の不動産も「状況次第で売却は可能」だが、単独・内緒で進めるのは厳禁|“紛争の整理”と“売却スキーム設計”をセットで考える必要がある

係争中(裁判・紛争中)の不動産は、

  • 原則として「何もせず放置する」のが安全でもなければ、
  • 「とにかく早く売ってしまう」のが正解でもありません。

現実的には、

  • 争っている内容(所有権・持分・境界・賃借権・ローン滞納 など)
  • 争っている相手(共有者・相続人・元配偶者・隣地所有者・金融機関 など)
  • 係争のステータス(交渉中/調停中/訴訟中/強制執行・競売寸前)

によって、

① 今は絶対に動かすべきではない
② 条件付きなら「係争中でも売却」が現実的
③ 早く売却の方向で合意を取りに行くべき

という“正しい選択肢”が変わってきます。

共通して言えるのは、

  • 係争を無視して勝手に売れば、後から契約無効や損害賠償のリスクが高い
  • 係争と切り離して売却だけ進めることは現実的にほぼ不可能
  • だからこそ、
    「紛争をどう扱うか」と「どう売るか」を同時に設計することが重要

という点です。

以下で、

  • そもそも「係争中の不動産」とは何か
  • どこまでが絶対NGで、どこからは“条件付きで可能”なのか
  • 現実的な売却方法・進め方

を、パターン別に整理して解説します。


目次

「係争中の不動産」とは?代表的な4つのタイプ

係争中といっても、背景はさまざまです。
代表的には次のようなケースがあります。

① 所有権・持分をめぐる争いがあるケース

  • 誰がどれだけ持っているか(所有権・共有持分)でもめている
  • 遺産分割・離婚・共有物分割の訴訟・調停中
  • 過去の贈与・登記に無効・錯誤があると主張されている

→ 「そもそも売主が正しいかどうか」が争点のため、
 売却の安全性そのものに直結します。

② 境界・面積をめぐる争いがあるケース

  • 隣地所有者と境界線・越境を争っている
  • 筆界特定・境界確定訴訟などが進行中
  • 擁壁・塀・越境樹木などの責任範囲が不明

→ 表面上は売買できても、**買主が一番嫌がる“将来トラブルの種”**になります。

③ 建物・用途・契約をめぐる争いがあるケース

  • 違法建築・用途違反で行政指導/是正命令の対象
  • 賃借人との立退き訴訟・賃料トラブルが進行中
  • 競業避止義務・定期借家の有効性などを訴訟中

→ **「その不動産をどう使えるか」**がハッキリせず、
 実需・投資家ともに手が出しづらい状態です。

④ ローン・差押え・競売など“金融系の係争”があるケース

  • 住宅ローン・事業ローンの滞納 → 金融機関と任意売却交渉中
  • 税金滞納で差押え・公売・競売の手続きが開始されている
  • 差押登記・仮差押え登記が付いている

→ 「売却代金がどこに・どれだけ流れるか」が複雑になり、
 専門スキーム(任意売却・債権者との同時決済)が必要になります。


係争中でも「絶対にやってはいけないこと」

まず、どのパターンであっても共通するNG行為から整理します。

NG① 紛争相手に無断で売却契約を結ぶ

  • 共有者・相続人・元配偶者・債権者などの同意なく
  • 自分だけの名義・立場を頼りに
  • こっそり売買契約を締結する

これは、

  • 契約無効・取消しの主張
  • 売主側の債務不履行・不法行為による損害賠償
  • 場合によっては刑事的な問題(背任など)と評価されるリスク

を抱える極めて危険な行為です。

NG② 紛争の存在を隠して“通常物件”として売り出す

  • 係争情報を不動産会社に伝えない
  • 媒介契約時に「特に問題なし」としてしまう
  • 買主にも裁判・紛争の事実を告げない

→ 後から発覚した場合、「重要事項の不告知」とされ、
 契約解除・損害賠償請求のリスクがあります。

NG③ 「係争中=どうせ売れない」と何もしない

  • 固定資産税・管理費・修繕費だけが延々とかかる
  • 老朽化・空室・近隣トラブルが進行し、
     物件価値そのものが目減りしていく

という“ゆっくりとした損失”が進む可能性があります。


係争中でも「条件付きで売却が現実的」な3つのパターン

逆に、次のような条件がそろえば、
係争中でも現実的に売却を検討できるケースがあります。

パターン① 「売却して現金で分ける」方向で大枠合意がある

離婚・相続・共有物分割などで、

  • 誰が住むか・使うかはまとまらないが
  • 「売って現金で分けるしかない」という点ではおおむね一致している

この場合、

  • 係争(調停・訴訟)は「分け方の割合」や他の財産部分にフォーカス
  • 不動産については
    「売却前提」での相場・査定・具体的な販売を進めやすいです。

現実的な進め方:

  • まずは紛争当事者全員の「売却方向の合意」を文書化
    (調停調書・和解案・合意書など)
  • そのうえで、不動産会社を“共通窓口”として選定
  • 販売価格のレンジ・最低売却価格・売却後の分配方法を
    あらかじめ取り決めておく

パターン② 紛争の対象が「不動産本体」ではなく、周辺条件に限られる

例:

  • 隣地との小さな越境・フェンス位置の争い → 是正前提での売買
  • 建物の一部用途について行政と争い中だが、
    将来是正工事をすれば利用制限が解ける見込み
  • 小さい金額の賃料トラブルなど

この場合、

  • 紛争内容・リスク・対応方針をきちんと開示したうえで
  • 「それでも買いたい」という
    投資家・再生業者向けに売却するスキームを組むことが可能です。

パターン③ ローン滞納などで「任意売却」が視野に入っている

  • 金融機関と交渉中だが、競売に移行する前に
  • 市価に近い価格で売却→売却代金をローン返済に充当
  • 差押え・競売開始決定が付いた状態でも、
    債権者の同意を得て任意売却を行うケースがあります。

この場合は、

  • 債権者(銀行・保証会社・税務署など)も「売却」を前提に動いている
  • 係争のゴール設定自体が「売却後の残債処理」

となっているため、
専門の任意売却スキームを用いれば、“係争中でも売却”が十分に現実的です。


係争中の不動産売却を進める「現実的なステップ」

ここからは、一般的な流れを整理します。

ステップ① 係争の“中身”を整理する

まず、

  • 何が争点なのか(所有権・境界・契約・お金 など)
  • 誰と誰が争っているのか
  • 係争のステータス(交渉/調停/訴訟/執行段階)
  • 弁護士や司法書士など、誰が関与しているか

を紙に書き出して整理します。

ここがあいまいだと、不動産会社も法律家も動きづらくなります。

ステップ② 「売却が係争の解決手段になり得るか」を検討する

  • 売却して現金化すれば、争点がシンプルになるのか
  • それとも、所有したまま他の条件で解決した方がよいのか

を、紛争当事者・弁護士・調停委員などと一緒に検討します。

ポイントは、

「今は売らない/売れない」という選択肢も含めて
“本当に売却がベストな解決策か”を冷静に考えること

です。

ステップ③ 不動産会社に「係争情報込み」で相談する

  • 隠さず、係争の内容・関係者・書類をすべて伝える
  • 「売れるか?いくらか?」だけでなく、
    • 売れるとして“どういう買主になりそうか”
    • 一般エンドユーザーか、業者・投資家か
    • その場合の価格レンジ・スケジュール
      をセットで聞く
  • 必要であれば、
    任意売却や問題案件に強い不動産会社を選ぶ

※この段階では、媒介契約を急がず、まず「可能性の確認」が目的で良いです。

ステップ④ 法律家と「スキーム」を組む

係争中の売却では、

  • 誰を売主とするか
  • 誰の同意・署名が必要か
  • 売却後の代金をどう分配するか
  • 差押え・抵当権・仮処分などをどう扱うか

といった「法務設計」が必須になります。

ここは、

  • 弁護士(紛争全体の戦略)
  • 司法書士(登記・権利関係)
  • 不動産会社(市場・実務)

の3者で連携しながら、売却スキームを組み立てることが重要です。

ステップ⑤ 「係争解決」と「売却」を連動させて進める

理想的には、

  • 和解案・調停案の中に
    • いくらを目途に売却するか
    • 誰が窓口となって売却するか
    • 売れた後の配分ルール
      を盛り込む
  • それに沿って不動産会社が売却活動を実施
  • 成約したら、その代金をもって
    紛争全体の清算(債務返済・持分精算・慰謝料・財産分与など)を行う

という“連動型”が、トラブルを最小化しやすいです。


「係争中の不動産」を扱うときの不動産会社の選び方

注目したいポイント

  • 離婚・相続・任意売却・訳あり物件などの実績があるか
  • 弁護士・司法書士・税理士など、
    外部専門家との連携体制があるか
  • 係争のリスクや限界について、
    「できないことはできない」とはっきり説明してくれるか
  • 一般のエンドユーザーだけでなく、
    業者・投資家ネットワークを持っているか

単純な「高値査定」だけを強調する会社ではなく、
リスクと現実的な落としどころを一緒に考えてくれる会社を選ぶことが大切です。


専門家コメント

ホームワーク株式会社 代表取締役(問題不動産・任意売却・相続・離婚案件担当)

  • 離婚・相続・共有トラブル・任意売却など
    係争を伴う不動産の売却サポート実績を多数保有
  • 弁護士・司法書士・税理士と連携したワンストップ対応に注力

コメント

「係争中の不動産のご相談で一番多いのは、

  • 『裁判中だけど、このままだとローンや固定資産税がきつい』
  • 『揉めているけれど、正直もう手放したい』
  • 『競売になりそうで怖いが、何から動けばいいか分からない』

といった“行き詰まり感”です。

重要なのは、

  • 係争を“なかったこと”にして売却だけ進めることはできない
  • 逆に、係争があるからといって、必ずしも“全く売れない”わけでもない

という二つの現実を、
冷静に見極めることだと思っています。

実務では、

  • 弁護士の先生と一緒に、和解案の中に「売却スキーム」を組み込んだり
  • 金融機関と調整して、競売前に任意売却の形でまとめたり
  • 投資家・専門買取業者を使って、紛争を整理しながら出口を作ったり

といったケースが少なくありません。

『係争中だからダメだろう』と決めつける前に、
まずは“今の状況で取り得る選択肢”を整理することから始めてみてください。
そのお手伝いをするのが、私たち不動産会社と、協力してくれる専門家の役割だと考えています。」


よくある質問(FAQ)

Q1. 裁判中の不動産でも、売却そのものは法律上可能ですか?
A. ケースによります。
所有権に争いがない部分を売る、差押え解除と同時に売るなど、
条件を整えれば可能な場合もありますが、
紛争相手・債権者の同意なしに進めると、後から無効主張や損害賠償のリスクが高いため、
必ず弁護士・司法書士とセットで検討すべきテーマです。

Q2. 係争中であることを、買主に伝えたくないのですが…
A. おすすめできません。
係争内容に応じては、宅建業法上の重要事項に該当し、
説明義務・告知義務が生じるケースが多いです。
隠して売った場合、後から契約解除・損害賠償請求につながる可能性があります。

Q3. 任意売却なら、係争中でも普通に売れますか?
A. 「普通」ではなく、「特別なスキーム」を使って売るイメージです。
金融機関・保証会社・税務署など債権者全員の同意が前提となり、
通常の売却よりも調整事項が多くなりますが、
競売より高値で売れる可能性があるなどのメリットもあります。

Q4. 境界トラブルを抱えたまま売却すると、どんなリスクがありますか?
A. 買主と隣地との間で新たな紛争が生じる可能性が高く、

  • 売主への損害賠償請求
  • 契約解除請求
    などにつながることがあります。
    インスペクションや測量・境界確定、覚書の取り交わしなどで
    “リスクを見える化・限定化”してから売ることが望ましいです。

Q5. 離婚・相続の係争中ですが、不動産会社に相談したことを相手側に知られたら不利になりますか?
A. 「どう使うか」は戦略次第ですが、
査定や情報整理のために相談すること自体は、
多くの場合で不利・違法とは評価されません。
ただし、相手を出し抜く目的で売却を進めると逆効果なので、
弁護士と相談しながら、調停・和解の材料として使うのが現実的です。

Q6. 係争中の不動産を“現状のまま”買いたい業者は本当にいるのですか?
A. います。
再建築不可・借地・底地・違法建築・事故物件・競売前後など、
“訳あり物件”に特化して買取・再生を行う業者が存在します。
ただし価格は通常より下がりやすいため、
「スピード・手間・リスク削減」とのバランスで検討する必要があります。

Q7. 係争が終わるまで何年もかかりそうです。その間に物件価値が下がりませんか?
A. 老朽化・空室増・周辺環境の変化などで、
価値が下がるリスクは十分にあります。
だからこそ、「今は売らない」と決める場合も、

  • 最低限の維持管理
  • 賃貸活用
  • リフォーム・用途変更
    など、価値を守る手当てを考えることが大切です。

Q8. 弁護士と不動産会社、どちらに先に相談すべきですか?
A. 争いの内容が重い(訴訟・差押え・競売など)場合は、
まず弁護士に「法的な立場」を確認し、そのうえで不動産会社に
「市場での現実的な出口」を相談する流れが安心です。
離婚・相続などで弁護士がまだいない場合は、
不動産会社経由で信頼できる弁護士を紹介してもらう方法もあります。

Q9. 裁判が終わる前に、「この条件で売れたら和解する」と決めておくことはできますか?
A. 可能です。
和解案・調停案の中に、

  • 売却価格の目安
  • 売れなかった場合の扱い
  • 売れた後の分配ルール
    などを盛り込むことで、裁判と売却を連動させることができます。

Q10. まず何から始めればよいですか?
A.

  1. 係争の内容・相手・進行状況を自分なりに紙に整理する
  2. 可能であれば、関係書類(訴状・調停申立書・通知・登記簿など)を揃える
  3. 弁護士または、問題不動産に詳しい不動産会社に
    「現状で取り得る選択肢」を相談してみる

という3ステップがおすすめです。
“売る・売らない”を今すぐ決めなくても構いません。
まずは**「今の状態で何ができて、何ができないか」**を把握することから始めてください。

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