【結論】「銀行評価が出にくい物件」も売却は可能。ただし「買主の選び方」と「売り方の戦略」で難易度が大きく変わる
金融機関の評価(担保評価)が出にくい物件でも、
売却自体は十分に可能です。
ただし現実には、
- 買主が住宅ローンを使いにくい
→ 一般のエンドユーザーには売れにくい - 評価が伸びない
→ 予定していた価格では買主のローンが通らない - 結果として
→ 「現金購入者」「投資家・業者」向けの売却戦略が重要になる
という特徴があります。
つまり、
- そもそもなぜ銀行評価が出にくいのか(理由)
- その理由ごとに、どんな買主・売り方が現実的なのか
- どこまで価格を優先し、どこからは「売り切ること」を優先するか
を整理しておくことで、
「売れない物件」を「売り方を選べば売れる物件」に変えていくことができます。
金融機関の評価が出にくい物件とは?主なパターン
まずは、どんな物件が「銀行評価が出にくい」と言われやすいのか、代表的な例を整理します。
1. 再建築不可・接道条件NGの物件
- 幅4m未満の私道にしか接していない
- 建築基準法上の道路に2m以上接していない
- そもそも道路に接していない(袋地)
【銀行の見方】
- 将来、建物を建て替えにくい/できない
- 市場での流通性が低く、競売になっても買い手が付きにくい
→ 担保価値が低い or 評価ゼロに近い
2. 違法建築・増築部分が法律に適合していない物件
- 容積率オーバー・建ぺい率オーバー
- 築年当時の確認申請と異なる増築・改築
- 階数や高さが制限を超えている
【銀行の見方】
- 違法状態の建物は、原則として担保に取りづらい
- 将来、是正工事や行政指導が入り得る
→ ローン対象から外す/評価を大きく落とす傾向
3. 借地権・底地・権利関係が複雑な物件
- 借地権付き建物(借地契約が古い・条件が不明瞭 など)
- 底地(建物所有者が別にいる土地)
- 共有名義が多い物件・持分のみの売却
【銀行の見方】
- 権利関係が複雑で、換金性・処分可能性が低い
- すべての権利者の合意がないと売却しにくい
→ 一般の居住用ローンでは取り扱わないことが多い
4. 私道持分・越境・未接道など、権利・利用条件に問題がある物件
- 私道の通行・掘削承諾が取れていない
- 建物や塀・排水管などの越境が放置されている
- セットバック前提でしか建築できない
【銀行の見方】
- 将来の建替えや売却時にトラブルリスクが高い
→ 評価額を大きく控えめにする or そもそも対象外
5. 極端な狭小地・変形地・旗竿地
- 10坪前後の超狭小地
- 三角形・台形など、建物計画が難しい形状
- 竿部分が長い旗竿地
【銀行の見方】
- 建築プランが限られる → 買い手も限定的
- 再販性・競売時の処分性が低い
→ 担保評価は通常の整形地より大きく下がりやすい
6. 老朽化が激しい築古アパート・ビル
- 構造的な劣化・雨漏り・配管不良などが顕著
- 大規模修繕・建替え前提の状態
【銀行の見方】
- 「建物価値」はほぼゼロとして、土地値のみ評価
- 収益性も低く、融資残高の圧縮を求められやすい
なぜ「金融機関の評価が出にくい」と売却に影響するのか
1. 買主が住宅ローンを使えない or 上限が低くなる
銀行評価が低いと、
- 買主が借りられる金額の上限
- 金融機関が認める「購入価格の妥当ライン」
が下がります。
【よくあるパターン】
- 売主の希望価格:3,000万円
- 銀行評価に基づく融資上限から見た適正ライン:2,400〜2,600万円
→ 買主は
「3,000万円で買いたくても、銀行が2,600万円までしか貸してくれない」
状態になり、ローン審査が通らない or 条件付き承認になることが起こります。
2. 現金購入者・投資家・業者にターゲットが絞られる
ローンが付きにくい物件は、
- 自己資金で購入できる個人
- 投資家・不動産業者
- 専門的な金融機関と付き合いのある法人
など、買主の層が狭くなる傾向があります。
→ 「普通のマイホーム購入層」に売るのが難しくなり、
“水面下での業者売却・投資用売却”の比重が高まることになります。
3. 価格交渉で「銀行評価」が材料にされる
買主側・金融機関側はよく、
- 「銀行評価はこれくらいなので、ここまでしか融資できません」
- 「この条件でないとローン承認が出ません」
という形で価格交渉をしてきます。
売主側としては、
- 「実需目線の相場」と
- 「銀行評価を前提とした価格」
とのギャップをどう埋めるかが、売却戦略の肝になります。
金融機関の評価が出にくい物件でも売却を成功させるための対処法
対処法① 「なぜ評価が出にくいのか」を正確に特定する
まずは原因の特定が不可欠です。
- 接道条件なのか
- 違法建築性なのか
- 借地権・私道など権利関係なのか
- 建物の老朽化・収益性なのか
これによって、
- 「改善・是正ができるもの」
- 「どうにもならない前提条件」
が分かれます。
【ここでやるべきこと】
- 不動産会社に、銀行評価が出にくい理由をヒアリング
- 必要に応じて
- 建築士
- 司法書士・弁護士
- 測量士
など、専門家にも相談
対処法② 「是正できる部分」は事前に手を打つ
すべての問題が「改善不能」というわけではありません。
例:
- 私道の通行・掘削承諾 → 書面で取り付ける
- 軽微な越境 → 工事で是正 or 同意書の取り交わし
- 増築部分が確認申請と不一致 → 建築士に相談し、合法化の可能性を検討
- 古い借地契約 → 地主と協議し、契約更新・条件変更の合意書を交わす
「完全にクリーン」にはできなくても、
- 問題点を縮小する
- 書面でルールを明確化する
ことで、一部の金融機関や買主のハードルを下げられることがあります。
対処法③ 「一般エンド向け」と「業者・投資家向け」で売却戦略を分ける
銀行評価が出にくい物件は、
- 一般エンドユーザー(マイホーム購入層)
- 投資家・不動産業者・現金購入者
に対して、それぞれ別の売り方を考えるのが現実的です。
【一般エンド向け】
- 利用イメージを具体的に提示(プラン図・リノベ案など)
- 利用上のリスク・制約も正直に説明
- 住宅ローンに前向きな金融機関(地銀・信金・ノンバンクなど)を事前にリストアップ
【業者・投資家向け】
- 再建築・建替え・リノベ後の収支シミュレーションを用意
- 「土地値」「利回り」などプロが重視する指標で提示
- 水面下の紹介・一括買取打診なども活用
対処法④ 「買取価格」と「仲介での売却価格」を同時に把握する
金融機関の評価が出にくい物件は、
- 仲介でエンドユーザーに売り切るのは時間がかかる可能性
- 途中でローン否決・価格交渉のやり直しも起こりやすい
というリスクがあるため、
- 業者買取で「確実に売り切る」価格
- 仲介で「時間をかければ狙える」価格
の両方を最初に知っておくことが重要です。
【イメージ】
- 仲介想定価格:3,000万円
- 業者買取価格:2,300〜2,500万円(条件付き)
→
「時間と手間をかけても3,000万円を目指すか」
「確実性とスピードを優先して2,400万円前後で売り切るか」
という判断軸が見えてきます。
対処法⑤ 「金融機関に合わせる」ではなく「買主ターゲットに合わせる」
- 「どこの銀行なら評価してくれるか」を探すのも一つですが、
それ以上に大切なのは
この物件を欲しがるのは、どんな買主か?
その買主は、どんな資金調達手段を持っているか?
を考えることです。
- 高所得の個人 → 融通の利く金融機関と付き合いがあるかもしれない
- 不動産業者 → 自社の信用力やデベロッパー向け融資を使える
- 投資家 → ノンバンク・プロパーローンを活用する場合も
「一般的な住宅ローン」を前提にする必要がない買主に
どう出会うか・どうアプローチするかが、成功のカギになります。
よくある物件タイプ別:現実的な売却の考え方
① 再建築不可物件
- 基本は「土地値 − 解体費」のレンジが目安
- エンドユーザーではなく、
- 投資家(現況賃貸用)
- 近隣地主(将来の一体利用目的)
向けの売却がメインターゲット
- 住宅ローンはほぼ期待できないため、現金購入者前提で考える
② 違法増築部分ありの戸建て
- 「既存不適格」か「違法建築」かで扱いが変わる
→ 建築士・役所に確認が必要 - エンドユーザー向けには
- 「現況のまま使用するリスク」
- 「将来建替え時には是正が必要」
を説明した上での売却
- 業者向けには、建替え後プランをセットで提示し、
土地として評価してもらう方向で調整
③ 借地権付き物件
- 一般の住宅ローンは使いにくいが、
借地権に前向きな金融機関・商品も一部ある - 地主との関係や契約条件を整理・見える化することで、
エンドユーザー向けの売却余地も出てくる - 難しい場合は、借地に慣れた投資家・業者・近隣地主が対象
専門家コメント
ホームワーク株式会社 代表取締役(難条件物件・買取案件担当)
- 再建築不可・借地・違法増築・狭小・変形地など「評価が出にくい物件」の売却実績多数
- 仲介と自社買取の両方を組み合わせた出口戦略の提案を行っている
コメント
「『銀行が評価してくれない=売れない物件』と
イコールで捉えてしまう方が多いのですが、
実務では必ずしもそうではありません。
大切なのは、
- なぜ評価が出にくいのか(原因)を正確に押さえること
- その原因が
- 改善できるものか
- 前提条件として受け入れるしかないものか
を切り分けること
- そのうえで、
“この条件でも価値を見出してくれる買主”に向けて売ること
だと考えています。
評価の出にくい物件ほど、
- 一般エンドユーザー向け
- 投資家・業者向け
- 自社買取・他社買取
といった複数の出口を最初から想定しておくことで、
結果的に“売れない不動産”を“きちんと売り切れる不動産”に変えていくことができます。
『銀行に断られたと言われた』『他社で売却が止まっている』という物件でも、
売り方を変えるだけで流れが大きく変わるケースは少なくありません。」
よくある質問(FAQ)
Q1. 金融機関の評価が出にくいと言われました。本当に売れるのでしょうか?
A. 条件次第ですが、売却自体は可能なケースが多いです。
ただし、一般の住宅ローン利用者ではなく、
現金購入者・投資家・業者が主なターゲットになる場合が多く、
価格・期間・売り方に工夫が必要です。
Q2. なぜうちの物件が評価されないのか、銀行は詳しく教えてくれません。どうしたらいいですか?
A. 不動産会社に「評価が出にくい理由を推定してほしい」と依頼し、
- 接道
- 用途地域・建ぺい率・容積率
- 権利関係
- 建物の状態
などを総合的に点検してもらうのが現実的です。
必要に応じて、建築士・司法書士・測量士などとも連携して原因を特定します。
Q3. 銀行評価が出ない物件を、普通の人(マイホーム希望者)に売るのは無理ですか?
A. 「無理」とは言い切れませんが、
- ローンが通りにくい
- 条件付き承認になりやすい
ため、ハードルは高くなります。
一部の地銀・信金・ノンバンクなど、柔軟な金融機関と組めれば
エンドユーザーへの売却も可能な場合があります。
Q4. 買取業者に売ると、どれくらい安くなりますか?
A. 一般的には、
「仲介での想定成約価格の60〜80%」程度が多いです。
ただし、評価が極端に出にくい物件では
60%を下回ることもあります。
複数の業者から買取価格を出してもらい、レンジを把握することが大切です。
Q5. 違法建築の部分を直せば、銀行評価は改善しますか?
A. 是正工事で建築基準法に適合させられれば、
評価が改善する可能性はあります。
ただし、工事費と評価アップ幅のバランスも重要なため、
- 建築士
- 不動産会社
と相談しながら「やる・やらない」を検討する必要があります。
Q6. 評価が出にくい物件を相続しました。売るか・持つか迷っています。
A.
- 将来の建替え・修繕・権利調整の負担を負えるか
- 賃貸活用などで収益を見込めるか
- 固定資産税や維持費の負担に見合うか
を整理したうえで判断する必要があります。
売却する場合は、早めに「評価が出にくい理由」を特定し、
その前提での価格帯・ターゲットを把握しておくことが重要です。
Q7. 他社で『ローンが付きにくいので売却は難しい』と言われました。諦めるしかないですか?
A. 会社ごとに経験値や得意・不得意分野が違うため、
「難しい物件の売却」に慣れた会社に改めて相談する価値は十分にあります。
特に、
- 任意売却
- 再建築不可・借地・狭小地
などの実績が豊富な会社を選ぶのがポイントです。
Q8. どの金融機関なら融資してくれるか、不動産会社に紹介してもらえますか?
A. 多くの不動産会社は、
- 取引実績のある地銀・信金・ノンバンク
などの情報を持っています。
ただし、最終的な可否は金融機関の審査によるため、
「確実にOKが出る」とは言えません。
Q9. 価格を下げれば、銀行評価が出にくくてもローンは通りやすくなりますか?
A. 一定の効果はあります。
評価額に対して購入価格を下げることで、
「融資額=評価額以内」に収まりやすくなるためです。
ただし、構造的な問題(再建築不可・違法建築など)がある場合は、
価格だけで解決できないことも多いです。
Q10. まず何から始めればいいですか?
A.
- 過去に銀行や他社から言われた内容(評価が出にくい理由)を整理
- 登記簿・図面・建築確認書類など、手元の資料を集める
- 難条件物件の実績がある不動産会社に相談し、
「原因の特定」と「売却シミュレーション(仲介+買取)」を出してもらう
という流れがおすすめです。
「評価が出ない=売れない」と決めつけず、
まずは“原因と打ち手”を一緒に整理してもらうところから始めてみてください。
千代田区で不動産売却をご検討の方へ
不動産売却は、
流れを理解したうえで進めることで
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