【結論】住宅ローン返済中・滞納中でも「売却は可能」。ただし“金融機関との段取り”次第で結果が大きく変わる
住宅ローンが残っている、返済が苦しい、すでに滞納が発生している——
こうした不動産でも、適切な手順を踏めば売却することは十分可能です。
ただし現実には、
- 金融機関との調整を誤ると
→ 売却自体が進まない、任意売却のチャンスを逃す、最悪は競売に進む - 逆に、早い段階で事情をオープンにして相談すれば
→ 売却条件の相談・担保解除・残債の分割返済など、柔軟な対応をしてもらえることも多い
という「差」が出やすい領域です。
ポイントは、
- いくらで売れそうか(市場価格)の把握と
- ローン残高・滞納状態などの「債務状況」の把握を
- できるだけ早く金融機関と共有し、
“現実的な落としどころ”を一緒に作っていくこと
です。
以下では、
- 金融機関との調整が必要になる典型パターン
- 売却までの現実的な進め方
- 注意点と、よくある失敗パターン
を順番に整理して解説します。
どんな不動産が「金融機関との調整が必要」になるのか
まずは、自分のケースがどこに当てはまりそうかを整理しましょう。
パターン① 住宅ローンが残っている一般的なケース
- まだローンが残っているマイホーム・投資用物件
- 売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消して売るパターン
【ポイント】
- 売却価格 ≧ ローン残高 + 諸費用
→ 売却代金で完済できる「アンダーローン」なら、比較的スムーズ - 売却価格 < ローン残高
→ 「オーバーローン」となり、金融機関との調整が必須
パターン② 返済に行き詰まり、すでに滞納・延滞があるケース
- 返済が数ヶ月遅れている
- 督促状・催告書が届いた
- 代位弁済や差押え予告の通知が届いた
【ポイント】
- 金融機関にとっても「競売」はコストが高いため、
条件次第で任意売却(話し合いによる売却)を認める方向で動くことが多い - ただし、動き出しが遅いほど選択肢が減る
パターン③ 事業用ローン・プロパーローンが絡む一棟物件・店舗・事務所
- 事業用資金として借りたローンの担保になっているビル・店舗・土地
- 複数の金融機関が共同で担保権を持っているケース
【ポイント】
- 金額が大きく、金融機関側の審査部門の関与も濃くなる
- 「どの金融機関がいくら回収できるのか」の調整が重要になり、
窓口の1行だけで完結しない場合もある
パターン④ 保証協会・サービサーが絡む債権(代位弁済後など)
- 保証会社が代位弁済を行い、債権者が保証会社・サービサーに移っている
- 金融機関ではなく、サービサーが窓口になっている
【ポイント】
- 回収のプロが相手になるため、条件交渉はよりシビア
- それでも「任意売却で一定額を回収できるなら競売よりマシ」という発想は同じで、
きちんと資料を揃えて交渉すれば、話は進められることが多い
金融機関との調整が必要な不動産売却の「全体の流れ」
ここでは、住宅ローン返済中〜返済に不安がある個人のケースを想定して、
大まかな6ステップを整理します。
ステップ① 現在の「債務状況」を正確に把握する
まずは、自分の状況を数字で把握します。
- 現在のローン残高
- 金利・返済額・返済期間
- 滞納があれば、その金額・期間
- 保証会社の有無・保証内容
【ここでやること】
- ローンの返済予定表・残高証明書の確認
- 金融機関の担当者に、最新の残高や滞納状況を問い合わせる
「だいたいこれくらい」という感覚ではなく、
確定した数字を押さえることが重要です。
ステップ② 不動産会社に「いくらで売れそうか」の査定を依頼する
次に、
- 今売ったら、市場でいくらくらいで売れそうか
- 売却にかかる諸費用(仲介手数料・登記費用・税金の目安など)
を把握します。
【ポイント】
- ローン返済事情も含め、最初から正直に話す
- 「1社だけ」でなく、2〜3社の査定を比較した方が信頼性が高い
- 「任意売却」や金融機関調整の案件を扱った経験がある会社を選ぶ
ここで、
市場での想定売却価格 −(ローン残高+諸費用)
を試算し、
- プラス(アンダーローン)なのか
- マイナス(オーバーローン)なのか
を確認します。
ステップ③ 金融機関に「売却と返済の意向」を正式に相談する
債務状況と査定結果がわかったら、
いよいよ金融機関に正式相談です。
【相談時に伝えるべき内容】
- 現在の返済状況(遅れの有無・今後の見通し)
- 不動産会社の査定価格・査定書
- 売却してローンをできるだけ返済したいという意向
- 売却後に残る債務の返済案(分割・一括・身内からの援助予定など)
【よくある金融機関の対応パターン】
- アンダーローンの場合
→ 売買契約・決済時にローンを一括返済してもらえればOK - オーバーローンの場合
→
(1) 売却価格の上振れを期待して「通常売却+価格交渉」を認める
(2) 任意売却として、一定額での売却と残債の分割返済を認める
(3) 条件次第では「不足分の一部を親族からの資金で補う」等の提案が必要になる
※ここは「銀行のさじ加減」ではなく、
債務者側の誠実な情報提供・返済意思を示せるかどうかが大きなポイントになります。
ステップ④ 金融機関の了解を前提に売却活動をスタート
金融機関が
- 担保解除の条件
- 任意売却の可否
- 最低売却価格(これ以下だと認めない価格)
などを内々に示してくれたら、それを前提に売却活動を始めます。
【この段階で大事なこと】
- 買主側への説明:
「ローン残高があり、金融機関の同意を得て売却する必要がある」旨を、
不動産会社を通じてきちんと伝える - スケジュール管理:
「金融機関の承認→契約→決済」までの流れに余裕をもたせる - 価格交渉の落としどころ:
買主の希望価格と、金融機関が認める最低価格のギャップを不動産会社が調整
ステップ⑤ 売買契約前後で最終的な条件を金融機関とすり合わせる
買主が見つかり、条件が固まってきたら、
- この価格・条件で売って良いか
- 売却代金のうち、いくらをローン返済に充当するか
- 残債が出る場合、その返済条件をどうするか
を、最終的に金融機関と合意します。
【ここが勝負どころ】
- 査定段階より売却価格が下がった場合、
あらためてローン残債・返済条件の見直しが必要 - 事前に「この辺までなら銀行が許容しそう」というラインを
不動産会社と共有しておくと、交渉がスムーズ
ステップ⑥ 決済・引き渡しと同時にローン返済・抵当権抹消
決済当日は、通常
- 買主が売却代金を支払う
- そのうちローン残高分を金融機関に完済(任意売却なら合意済み金額を支払い)
- 同時に、抵当権抹消登記を司法書士が申請
- 手数料・諸費用を差し引いた残りが売主の手取り
という流れで進みます。
【オーバーローンのケース】
- 売却代金で返済しきれなかった残債については、
事前合意通りの方法(分割返済・一部免除・保証会社への支払いなど)で処理
金融機関との調整が必要な売却で「やってはいけないこと」
NG① 返済の遅れ・督促状を放置する
- 「もう少し様子を見よう」と放置している間に、
- 個人信用情報への事故登録(ブラックリスト)
- 代位弁済・差押え・競売開始の申立て
まで一気に進むことがあります。
動き出しが遅いほど、任意売却など“自分で選べる選択肢”が減るので、
最初の督促の段階で相談を始めるのが理想です。
NG② 不動産会社にも金融機関にも「本当の状況」を隠す
- 滞納額・他の借入・収入状況などを隠してしまうと、
- 金融機関との交渉内容にズレが出る
- 後から判明し、信頼を失って交渉が難しくなる
という悪循環になります。
不動産会社と金融機関は“味方”にしないと話が進まないので、
少なくとも窓口となる担当者には、事情を正直に共有することが重要です。
NG③ 自己判断で「相場より安く」売る(勝手に値引きする)
- 金融機関の承諾前に、
「早く売りたいから」と大幅値下げで契約してしまう - その結果、売却代金ではローンがまったく返せず、
銀行が担保解除に応じてくれない
というケースは実際にあります。
「いくら以下なら売ってはいけないか」は、必ず金融機関と事前に共有しておくべきです。
任意売却という選択肢:競売を避けるための現実的な手段
返済が難しく、競売の可能性が出てきた場合には、
- 裁判所主導での競売ではなく
- 不動産会社を通じた「任意売却」で
市場価格に近い金額で売る
という選択肢があります。
任意売却のメリット
- 競売より高く売れるケースが多く、
→ 金融機関の回収額が増え、売主の残債も減りやすい - 売却活動や内覧のコントロールがしやすい(通常の仲介に近い)
- 「競売情報」として公開されないため、
周囲に知られにくい
任意売却のデメリット・注意点
- 金融機関の同意が必須
- 債権者が複数いる場合、それぞれから同意を得る必要がある
- 残債がゼロにはならないケースも多く、
売却後も返済義務が残ることがある
任意売却に向くケース
- すでにローン滞納が発生している
- 返済の目途が立たず、延滞が今後も続く見込み
- 競売開始決定通知が届いたが、まだ時間的に猶予がある
専門家コメント
ホームワーク株式会社 代表取締役(任意売却・ローン調整案件担当)
- 住宅ローン返済中の売却・任意売却・競売回避案件を多数サポート
- 金融機関・保証会社・サービサーとの調整経験が豊富
コメント
「住宅ローンや事業用ローンが絡む売却相談では、
- 『ローンが残っていると売れないのでは?』
- 『返済に遅れがあるので、銀行に相談するのが怖い』
という不安をよく伺います。
実務的には、
- “返済が苦しくなった段階”で動き出せば、取れる選択肢はまだ多い
- “督促・差押え・競売の段階”になってからだと、できることはかなり限られる
というのが正直なところです。
大切なのは、
- 不動産の売却可能額(市場価格)
- ローン残高・その他の債務
- ご本人の収入・家計の状況
を整理したうえで、
金融機関と**“現実的に落としどころを探す”スタンスで向き合うこと**です。
私たちは、不動産会社として、
- 査定価格や売却プランの提示
- 金融機関・保証会社との条件調整のサポート
- 任意売却を含めた“最悪の事態を避けるためのプラン作り”
をお手伝いしています。
『もう少し頑張れるかもしれない』と思っているうちに状況が悪化し、
任意売却のチャンスも逃してしまうケースを何度も見てきました。
返済が苦しくなってきた段階で、
“売却も一つの選択肢”として早めに相談を始めることを、
心からおすすめします。」
よくある質問(FAQ)
Q1. 住宅ローンが残っていても、不動産は売れますか?
A. 売れます。
売却代金でローンを完済し、同時に抵当権を抹消するのが一般的な流れです。
売却価格がローン残高を下回る場合は、金融機関との調整(任意売却など)が必要になります。
Q2. 売却価格よりローン残高の方が多い場合(オーバーローン)はどうなりますか?
A.
- 売却代金を最大限返済に充てたうえで
- 残った債務を「分割返済」「一部一括返済」などで処理する
という形が一般的です。
この条件を金融機関と交渉するのが「任意売却」です。
Q3. 返済が滞っていても、任意売却はできますか?
A. 可能なケースが多いです。
むしろ、滞納が発生しているからこそ、
競売になる前に任意売却で少しでも良い条件で売却・返済する
という発想が重要です。
ただし、競売の手続きが進むほど時間的余裕がなくなるため、
早めの相談が不可欠です。
Q4. 金融機関にはいつ相談すべきですか?
A.
- 「返済が苦しくなってきた」と感じた段階
- もしくは滞納が発生した直後
がベストです。
督促や差押えの通知が来てからだと、
金融機関の立場も厳しくなり、柔軟な対応が取りづらくなります。
Q5. 不動産会社と銀行、どちらに先に相談すべきですか?
A. 実務的には、不動産会社と銀行の“両方”に相談する必要がありますが、
まずは不動産会社に査定を依頼して、
「いくらで売れそうか」「売却後の残債がどれくらいになりそうか」を把握した上で、
その資料を持って銀行に相談する流れがスムーズです。
Q6. 金融機関との調整が必要な売却でも、普通の仲介手数料はかかりますか?
A. はい、通常の仲介と同様に仲介手数料はかかります。
ただし、任意売却の場合は
- 金融機関・保証会社が仲介手数料分を回収額から上乗せして認める
といった形を取るケースもあり、
売主本人の持ち出しを抑えられる場合もあります(条件による)。
Q7. 任意売却と自己破産はセットですか?
A. 必ずしもそうではありません。
任意売却を行っても、
その他の借入状況や収入次第では、その後も通常の生活が続けられるケースもあります。
一方、多重債務に陥っている場合などは、
任意売却+自己破産をセットで検討することもあります。
この判断は、弁護士・司法書士と相談して行います。
Q8. 金融機関との交渉は、自分だけでやっても大丈夫ですか?
A. 可能ではありますが、
- 専門用語・ルールの理解
- 必要書類の準備
- 条件交渉
などを一人で行うのは負担が大きく、
不動産会社や専門家のサポートを受けた方がスムーズに進むことが多いです。
Q9. 売却せずに、返済条件の変更(リスケ)だけで済ませる方法はありますか?
A. 金融機関によっては、
返済期間の延長・一時的な返済額の減額などの「条件変更」に応じてくれることもあります。
ただし、根本的な返済能力が不足している場合は、
一時しのぎにしかならないことも多いため、
売却も含めた総合的な検討が必要です。
Q10. まず何から始めればいいですか?
A.
- ローン残高・滞納状況を正確に把握する
- 不動産会社に査定を依頼し、売却可能額の目安を知る
- そのうえで、金融機関に売却と返済の意向を正式に相談する
というステップがおすすめです。
「こんな状況を話していいのか」と迷う段階からでも、
早めにプロに相談することで、取れる選択肢を広げることができます。
千代田区で不動産売却をご検討の方へ
不動産売却は、
流れを理解したうえで進めることで
不安と失敗を大きく減らせます。
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