【結論】「残置物はどこまで処分してくれるか」は“契約次第”|基本は売主負担、ただし費用と手間のバランスで「現況渡し」や「残置物込み買取」も十分検討価値あり
不動産売却の現場では、
- 家具や家電、生活用品
- 納戸や倉庫に詰まった荷物
- 使わない布団・本・食器・仏壇・ピアノ など
「残置物(残された荷物)」をどうするかが、大きな悩みになりがちです。
ポイントを先にまとめると:
- 一般的な仲介の個人売買では
→ 原則「残置物なし(空室・空家)」で引き渡すのが前提
→ つまり処分は売主の責任・費用負担 - ただし、
- 不動産会社による買取
- 「現況有姿(現況渡し)」条件
- 残置物撤去サービス付きの会社
などを選べば、“ほぼ何も片付けずに売却”も現実的に可能
- 重要なのは、
- 「誰に売るか」(個人/買取業者)
- 「どんな契約条件にするか」(スケルトン渡し/現況渡し など)
をきちんと確認し、書面に落とすこと
です。
以下で、
- 一般的な「残置物」の扱いと、不動産会社が実際どこまでやってくれるか
- 残置物を「自分で片付ける」場合と「業者や買主に任せる」場合の違い
- トラブルになりやすいパターンと、契約時の注意点
- 残置物対応をラクにする現実的な選択肢
を順番に整理して解説します。
「残置物」は本来だれの責任?基本ルールを整理
原則:売主が「全部片付けてから引き渡す」がスタンダード
通常の売買(仲介)では、売買契約書に
- 「本物件は、売主の責任において残置物を撤去のうえ、引き渡す」
- 「動産類は引渡日までに売主の費用負担で撤去する」
といった条文が入るのが一般的です。
つまり、
- タンス・ソファ・ベッド・冷蔵庫・洗濯機・カーテン・照明(※)
- 細かな生活用品・衣類・本・食器・家電・ゴミ
- ガレージの荷物・庭の物置の中身 など
は、原則として売主側で撤去・処分してから引き渡すのが基本です。
※照明・カーテンなどをどう扱うかは地域慣行や契約によって異なります。
「残してよい/ダメ」は契約で明確にしておくのが安全です。
例外:契約で「残してよい」と合意したものは例外的にOK
一方で、買主が
- エアコンはそのまま使いたい
- カーテンレールや照明器具も残してほしい
- 庭の物置やウッドデッキはそのまま欲しい
と希望する場合は、
- 売買契約書に「付帯設備」として明記する
- 「残置・引き渡し対象」として合意しておく
ことで、残して引き渡すことも可能です。
重要なのは、
「どこまで撤去し、何を残すのか」を
口頭ではなく契約書にしっかり書いておくこと
です。
不動産会社は残置物を「どこまで」やってくれる?
仲介会社の役割:基本は「片付け業者の手配」まで
一般的な不動産仲介会社ができるのは、
- 残置物の量を見て、
不用品回収業者・遺品整理業者・解体業者などを紹介・手配する - 見積りの調整や、鍵の管理・立ち会いサポートをしてくれるケースもある
というレベルが基本です。
ポイント
- 仲介会社自身が、トラックで来て全部片付けてくれるわけではない
- 費用は売主が負担が原則(業者に直接 or 決済代金から相殺など)
買取業者の場合:「残置物込み」で買い取るプランも増えている
不動産会社が自ら買い取る「買取」の場合は、
- 残置物そのまま・現況のままで買い取る
- 残置物撤去・ハウスクリーニングは買取業者側の負担
という条件を出してくれることが増えています。
よくある文言イメージ:
- 「本物件は現況有姿(残置物を含む現況の状態)のまま買取する」
- 「残置物の撤去・処分は買主(買取業者)の負担とする」
ただし、その分、
- 買い取り価格が仲介売却より低めになる(相場の6〜8割程度が目安)
- 残置物撤去費用や手間が、価格に織り込まれている
ということは理解しておく必要があります。
残置物の「パターン別」リアルと費用感
パターン① 自分(または家族)で片付ける
【現実】
- 手間と時間はかかるが、コストは最小限に抑えられる
- 粗大ゴミ・自治体の回収・フリマアプリ・リサイクルショップなどを駆使すれば、
費用をかなり抑えられる場合も
【向いているケース】
- 売主が比較的若く元気
- 近くに住んでいて、何度も通える
- 物量がそれほど多くない/整理されている
- 感情的に、自分で片付けたい(遺品整理など)
【注意点】
- 想像以上に時間がかかる(休日だけだと数ヶ月単位も)
- 契約・引き渡しスケジュールに間に合うよう、逆算が必要
パターン② 専門業者(不用品回収・遺品整理)に丸ごと依頼
【現実の費用感(目安)】
- 1K〜1DK:数万円〜15万円前後
- 2DK〜3DK:10万〜30万円前後
- 一戸建て(3〜4LDK+庭・物置):20万〜50万円以上
※物量・立地・階段の有無などで大きく変動
【向いているケース】
- 高齢・遠方で自力片付けは現実的でない
- 早期売却が必要で、時間に余裕がない
- 相続で引き継いだ実家の片付けなど、物量が多い
【注意点】
- 見積りは必ず複数社から取る(2〜3社)
- 「安すぎる業者」は不法投棄などのリスクもあるため、口コミ・許可の有無を確認
パターン③ 買取業者に「残置物込み」で売却する
【現実】
- 買取価格は仲介より低めだが、
片付けゼロ・手間ほぼゼロで一気に解決できる - 遠方の実家・相続物件・ゴミ屋敷化した家などで選ばれやすい選択肢
【向いているケース】
- とにかく早く売って現金化したい
- 片付け・掃除を自分でやる余力がない
- 相続人が全員遠方で、誰も動けない
- 建物がかなり傷んでおり、そのまま解体前提で売るようなケース
【注意点】
- 「残置物込みOK」と言っても、
- 金庫
- 危険物(塗料・ガスボンベなど)
- 仏壇・神棚・遺骨
などは別途対応を求められることもある
- 何が「残してよくて」「何がNGか」は、必ず事前に確認し契約書に反映する
トラブルになりやすい「残置物あるある」と注意点
① 引き渡し当日、思ったより荷物が残っていて揉める
- 売主:「ここまでは残してよいと思っていた」
- 買主:「全部撤去してもらえる前提だった」
という“認識のズレ”は典型的なトラブルです。
【防ぐポイント】
- 契約前の内見時に、
「この家具は残す/撤去する」を口頭で済ませず、メモに残す - 売買契約書の
- 付帯設備表
- 物件状況報告書
に、残す物・撤去する物を具体的に記載しておく
② エアコン・照明・カーテンなど「造り付けっぽいもの」の扱い
地域や慣習によって、
- 残すのが普通 → 買主も期待している
- 基本は撤去 → 残す場合は合意が必要
と分かれるものがあります。
代表例:
- エアコン
- 照明器具(シーリングライトなど)
- カーテン・カーテンレール
- 物置・門扉・庭の樹木・花壇
【防ぐポイント】
- 営業担当に「この地域での慣行」を確認する
- 「残してほしい」と買主が言うものは付帯設備表に明記
- 故障しているもの・寿命が近そうなものは、
事前に伝えたうえで「おまけ扱い」にしておくと安心
③ アスベスト・産業廃棄物・危険物が出てきたケース
古い家や工場・倉庫では、
- 古い断熱材・スレート屋根(アスベスト含有の可能性)
- 塗料・シンナー・薬品
- 農薬・灯油タンク
など、一般廃棄物では処理できない残置物が出てくることがあります。
【注意点】
- 産廃処理が必要なものは、処分費用が高くつく
- 解体業者・専門処理業者の見積りが別途必要
- 買主側の調査で発覚すると、
売主負担での撤去を求められることもある
「怪しいもの」があると分かっているなら、
売却前に不動産会社に必ず共有し、対応方針を相談するべきです。
どこまで片付けるべき?判断の目安
基本ライン:「買主が入居・利用するのに支障がないレベル」
- 生活ゴミ・衣類・個人情報が分かる書類類は必ず撤去
- 大型家具・家電は
- 残してよいと合意がない限り撤去
- 合意があっても、故障品・著しく古いものはお互い確認
「ここは残してもOK」になりやすいもの(合意次第)
- エアコン(年式次第)
- カーテンレールや照明の一部
- 玄関収納・造り付けの棚
- 庭の樹木・植栽
- 物置(状態が良ければ)
※あくまで双方の合意が前提です。
「基本的にNG(売主が処分すべき)」なもの
- 生活ゴミ・食料品の残り
- 使用済み寝具・衣類
- 雑多な日用品・空き箱・紙類
- 壊れた家電・家具
- 個人情報が残る書類・写真・アルバム など
残置物の悩みを減らす「現実的な選択肢」
選択肢1:先に「売り方」を決めてから片付けのレベルを決める
- 仲介(一般の買主へ販売)で
できるだけ高く売りたい → 基本は“ほぼ空室”レベルまで片付け - 買取でスピード優先 → 「現況渡し」「残置物込みOK」の条件が取れれば、
必要最低限の片付けにとどめる
売り方が決まらないまま片付けを始めると、
無駄なコスト・労力をかけてしまうことがあります。
選択肢2:「片付け+売却」をパッケージで頼める会社を選ぶ
最近は、
- 自社または提携業者で残置物撤去
- そのまま売却・買取もまとめてサポート
といった「ワンストップサービス」を提供する不動産会社も増えています。
メリット:
- 片付け費用も含めたトータルの損得が分かりやすい
- 鍵を預けておけば、立ち会い回数を減らせる
デメリット:
- 業者が1社に固定されるので、
片付け費用・買取価格の競争が働きにくい面もある
→ 可能なら片付け業者・買取条件の相場を一度は比較しておきたいところです。
選択肢3:高齢・遠方・相続の場合は「残置物込み買取」を一度は検討
- 親が亡くなった後の実家
- 誰も住んでおらず、物がそのままの状態
- 相続人がみな遠方で、誰も片付けに通えない
といったケースでは、
- 相続人がみんなで有給を取り、交通費と時間をかけて片付ける
→ 金銭的・精神的な負担が非常に大きい - 残置物込みで買取してもらう
→ 買取金額は低くなるが、「手間とストレス」をお金で買っている
という考え方も、十分現実的な選択です。
専門家コメント
ホームワーク株式会社 代表取締役(不動産売却・相続不動産・残置物対応相談)
- 相続実家・空き家の売却案件を年間多数対応
- 「片付けがネックで売却に踏み切れない」相談のサポートも多数
コメント
「ここ数年で、『残置物』の相談は本当に増えました。
- 親の家がまるごと残っている
- 仕事が忙しくて片付けに通えない
- 何から手をつければいいか分からない
という声が多い一方で、
実務的には、
『どこまで自分たちでやるか』
『どこからはお金を払って業者や買取に頼るか』
の線引きを一緒に決めていくことで、
ほとんどのケースは“現実的な落としどころ”が見つかっています。
特に相続の現場では、
- 兄弟で何度も実家に集まって片付ける
- 結局、時間も交通費もかかり過ぎて、みんな疲弊してしまう
ということもよくあります。
私たちは、
- まず不動産としての価値(売り方・価格の目安)を出す
- そのうえで、片付けをどこまで自分たちでやるか/業者や買取に任せるかを
“お金と時間と気力”のバランスで一緒に考える
という順番を大切にしています。
『片付けが大変そうで、売却の相談に行くのも気が重い』
という方こそ、
“片付けも含めてどう進めるか”を最初から相談していただければと思います。」
よくある質問(FAQ)
Q1. 売却時、残置物はどこまで必ず片付けないといけませんか?
A. 原則は「生活ゴミ・私物・壊れた家具家電などはすべて撤去」です。
エアコンや照明など、一部を残す場合は、
買主の同意を得たうえで契約書に明記しておく必要があります。
Q2. 「現況渡し」と書いてあれば、残置物を全部そのまま残していいですか?
A. 一般的には「残置物も含めて現況」という意味合いですが、
解釈に差が出ないよう、
- 何を残すのか
- 売主が撤去すべきものはないのか
を契約書・特約で具体的に書いておくのが安全です。
Q3. エアコン・照明・カーテンは残してもいいのでしょうか?
A. 地域や慣習によります。
残してほしい/ほしくないは買主の希望にもよるため、
- 付帯設備表に「残す」と明記
- 故障の有無・年式も可能な範囲で記載
しておくとトラブルを避けやすくなります。
Q4. ゴミ屋敷状態でも売れますか?
A. 売れますが、
- 仲介で一般の買主に売るのはかなりハードルが高い
- 多くは「買取業者への現況売却+業者が片付け・解体」
というパターンが現実的です。
状況をそのまま不動産会社に伝え、「現況での査定」をしてもらうとよいです。
Q5. 残置物の処分費用は、売却代金から差し引いてもらえますか?
A. 可能なケースもあります。
- 不動産会社経由で片付け業者に依頼
- 決済時に「売却代金 − 残置物処分費用 − 仲介手数料…」という形で精算
とするパターンです。
ただし、あくまで費用を負担するのは売主である点は変わりません。
Q6. 仏壇・遺影・遺骨などは、どう扱えばいいですか?
A. 多くの買取業者・片付け業者が「処分NG」としている品目です。
- 菩提寺や寺院に相談して「魂抜き(閉眼供養)」を行う
- 専門の供養サービスを利用する
など、通常の不用品とは別ルートでの対応が必要です。
Q7. 危険物(塗料・ガスボンベ・灯油・農薬など)が残っている場合は?
A. 一般の不用品回収では引き取れないものも多く、
産業廃棄物として専門業者による処分が必要なケースがあります。
見積もり時に必ず業者へ申告し、不動産会社にも共有してください。
Q8. 片付けが終わらず、引き渡し日までに間に合わなかったらどうなりますか?
A. 原則として「契約不履行」となり、
- 引き渡し延期の交渉
- 最悪の場合、違約金や契約解除のリスク
が生じます。
片付けが不安な場合は、早めに業者を手配し、余裕のあるスケジュールで動いてください。
Q9. 不動産会社に、残置物もまとめて相談しても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。
- 提携の片付け業者・遺品整理業者の紹介
- 残置物込みでの買取提案
などをしてくれる会社も多いので、
「片付けが不安」と最初から伝えるとスムーズです。
Q10. 何から始めれば良いですか?
A.
- 家の中と外(庭・物置)をざっと見て、「物量のイメージ」を把握する
- 自分たちでやる部分と、業者に任せたい部分をざっくり分けてみる
- そのうえで不動産会社に相談し、
- 売り方(仲介/買取)
- 残置物対応の方針
- おおまかな費用感
を一緒に整理してもらう
この流れで進めると、
「どこまで片付けるべきか」「どこからお金で解決するか」が見えやすくなります。
千代田区で不動産売却をご検討の方へ
不動産売却は、
流れを理解したうえで進めることで
不安と失敗を大きく減らせます。
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