立退き交渉が難航する不動産の売却方法とは

不動産

【結論】「立退きが難航する物件」は“自力で何とかしようとしない”ほうがうまくいく。売却ルートを分けて考えることが重要

立退き交渉がうまく進まない不動産でも、
売却そのものは十分に可能です。

ただし、

  • オーナーが一人で借主とぶつかり続ける
  • 「立退きが終わってから売る」以外の選択肢を検討しない

という進め方をすると、

  • 交渉が長期化して、物件がどんどん傷む
  • 結局、安く業者に買い叩かれる
  • 借主との関係まで悪化して精神的にも追い詰められる

という“負のループ”にはまりやすくなります。

立退き交渉が難航している物件の売却では、

  1. そもそも「立退きを完了させてから売るべき物件か?」を冷静に見直す
  2. 「借主付きのまま売る」「立退きリスクごと業者に売る」など、複数ルートを検討する
  3. 弁護士・不動産会社・リフォーム会社がチームを組んで“出口”から逆算して動く

この3ステップで考えることが大切です。

以下では、
空き家・賃貸中物件・立退き案件を多く扱う
ホームワーク株式会社の現場経験を踏まえながら、

  • なぜ立退き交渉が難航しやすいのか
  • それでも売れる具体的な売却パターン
  • オーナーが絶対にやってはいけないNG行動
  • リフォーム会社を絡めた現実的な進め方

を整理してお伝えします。


目次

なぜ立退き交渉は「難航」しやすいのか

借主の権利が強く、オーナーの「事情」だけでは通らない

借地借家法により、借主の居住・営業の安定は手厚く保護されています。

  • 「相続したので売りたい」
  • 「老朽化して管理が大変」

といったオーナー側の事情だけでは、
立退きの正当事由としては弱く、

  • オーナーの自己使用の必要性
  • 建物の老朽化・危険性
  • 借主側の生活・営業への影響
  • 立退き料等の補償内容

などを総合的に見て判断されます。

この前提をきちんと理解せず、

  • 「契約更新しないから、〇月までに出て行って」
  • 「売るから、早く立退いてほしい」

と感情的に要求してしまうと、
借主の反発を招き、交渉が一気に硬直化します。


立退き料・代替物件・期限…「条件設計」が甘い

借主側が気にしているのは、

  • 新しい住まい(または店舗)は本当に見つかるのか
  • 引っ越し費用・原状回復費用はどうなるのか
  • 今と同等の条件(家賃・広さ・立地)で移れるのか
  • 「いつまでに出て行け」と言われているのか

といった“生活のリアル”な部分です。

一方でオーナー側は、

  • いつ売れるか分からない不安
  • 固定資産税や管理の負担
  • 相続人・家族からのプレッシャー

を抱えており、

  • 条件を十分に用意しないまま「早く出て行ってほしい」とだけ伝えてしまう

結果として、
借主は「自分の生活は守られていない」と感じ、
交渉が難航します。


「出口(売却・活用)からの逆算」がないまま交渉している

立退き交渉がもつれる典型パターンは、

  • まず立退きだけ何とかしようとする
  • その後に「売るか・建て替えるか」を考え始める

という順序で進めてしまうケースです。

本来は、

  • 立退き完了後、その不動産をどうするのか
  • 売却なら、どの価格帯・どの買主層を狙うのか
  • 建替えやリノベなら、どの程度の投資回収を見込むか

といったビジョンが先にあり、
その計画の中で「立退き条件」を設計すべきです。

これがないと、

  • 想定以上の立退き料を支払ったのに、売却価格が伸びない
  • 時間をかけて立退きしても、活用計画が立たず、空き家のまま

といった“費用と労力の割に合わない結果”になりがちです。


立退き交渉が難航している物件でも「売れる」4つの売却パターン

パターン① 交渉を断念し、「借主付きのままオーナーチェンジ売却」

【概要】

  • 立退きは行わず、現在の賃貸借契約を引き継ぐ形で
    不動産を投資用(オーナーチェンジ物件)として売却する方法です。

【メリット】

  • 立退き交渉を続けるストレスから解放される
  • 立退き料・訴訟リスクを負わずに済む
  • 家賃収入を求める投資家にとっては、むしろ「即収入物件」として評価される

【デメリット】

  • 自宅用(実需)の買主にはアピールしづらいため、買い手が投資家中心になる
  • 賃料が相場より安すぎる場合、利回りが伸びず、価格が抑えられる

【向いているケース】

  • 借主が高齢で長期入居、立退きに強い抵抗がある
  • テナントの営業実態がしっかりしており、家賃滞納もない
  • オーナーとしては「早く手放したい」気持ちが強い

パターン② 「立退きリスク込み」で不動産業者に買取を依頼

【概要】

  • 現状のまま、不動産買取業者や再生系の業者に売却する方法です。
  • 立退き交渉や建物の再生は、すべて業者側の責任・リスクで行います。

【メリット】

  • 一般の個人相手よりも、スピード感を持って現金化できる
  • 立退き・解体・リノベなどの“面倒な部分”を丸ごと任せられる
  • 訴訟や長期化の精神的負担から解放される

【デメリット】

  • 買取価格は、立退き費用・工事費・業者の利益を差し引いたものになるため、
    相場より低くなりやすい

【向いているケース】

  • とにかく早く売却・整理したい(相続・離婚・借金返済など)
  • 借主との関係がこじれており、自分では交渉を続けたくない
  • 建物が老朽化しており、今後の維持が難しい

パターン③ 一部だけ立退きし、「空室+入居中」のまま売る

【概要】

  • アパート・ビルなど複数戸ある物件で、
    立退き交渉が比較的スムーズな部屋だけ先に退去してもらい、
    「一部空室・一部入居中」という状態で投資家に売却する方法です。

【メリット】

  • 一棟まるごとの立退きより、交渉のハードルが下がる
  • 空室部分をすぐリノベ・賃貸できるため、投資家にも魅力的
  • 入居者全員と対立構造になるのを避けられる

【デメリット】

  • 物件の“完成形”が見えづらく、価格が伸びにくいこともある
  • 引き継ぐ投資家側にも、一定のリーシング(入居付け)ノウハウが必要

【向いているケース】

  • 部屋ごとに入居状況・事情がバラバラ
  • すでに空室が多く、リノベ済みの部屋も混在している
  • 一部の借主とは良好な関係で、円満な立退きが期待できる

パターン④ 専門家を前面に立て、「条件見直し+期間限定」で再交渉 → その後売却

【概要】

  • 現在の交渉条件(立退き料・期限)を一度リセットし、
    弁護士・不動産会社・リフォーム会社がチームで「出口から逆算した条件」を再設計。
  • それでもダメなら、パターン①②③へ切り替える前提で、
    **“最後の立退きチャレンジ”**を行う方法です。

【メリット】

  • 感情的な対立から距離を置き、“プロ同士の話し合い”に切り替えられる
  • 立退き後の売却・活用プランをセットで示せるため、借主にも先が見えやすい
  • 条件を整理し直すことで、合意に至る可能性が上がる

【デメリット】

  • 弁護士費用などの専門家コストがかかる
  • 期限を区切らないと、ずるずる長期化する恐れがある

【向いているケース】

  • 完全に関係がこじれているわけではない
  • ただ、オーナー個人での説得は行き詰まっている
  • 立退きが実現すれば、相場以上での売却が十分に見込める立地・物件

立退き難航物件の売却で、オーナーがやってはいけないNG行動

NG① 感情的になって借主を責める

  • 「こっちは困ってるんだ!」
  • 「人の善意につけ込んで居座っている」

といった言い方をしてしまうと、

  • 借主は「自分が悪者扱いされている」と感じて防御的になる
  • 冷静な条件交渉ができなくなる

結果として、
話し合いの余地があったはずの案件まで、
一気に硬直化してしまいます。


NG② 法律・契約内容を確認せずに期限だけ切る

  • 「今年中には出て行ってください」
  • 「来年の更新はしませんから」

とオーナーの一存で期限を区切るのは危険です。

本来は、

  • 契約形態(普通借家か定期借家か、借地か)
  • 更新期日・解約予告期間
  • 正当事由の有無
  • 裁判になった場合の見通し

などを踏まえて、
「現実的な落としどころ」を設計する必要があります。


NG③ 立退き料を“相場感だけ”で決めてしまう

  • インターネットの掲示板で見た数字
  • 友人・近所の事例

だけを頼りに金額を提示すると、

  • 借主から「足元を見られている」と反発を招く
  • 逆に、必要以上に高額な条件を出してしまう

という両極端になりがちです。

本来は、

  • 賃料・営業利益(店舗の場合)
  • 建物の老朽度・物件の価値
  • 周辺の代替物件状況

などを踏まえて、
弁護士・不動産の専門家と一緒に検討すべきテーマです。


NG④ 自分だけで交渉し続けて、精神的に追い詰められる

立退き交渉が難航しているオーナー様の中には、

  • 借主と会うのが怖くなってしまう
  • 家族にも相談できず、一人で抱え込み続ける

という状態に陥っている方も少なくありません。

この状態になると、

  • 条件を冷静に判断できなくなる
  • 不利な条件でも「もういいから終わらせたい」と妥協しがち

といった危険があります。


ホームワーク株式会社が関わった「難航立退き物件」の事例

※プライバシー保護のため内容を一部加工しています。

事例① 10年以上交渉が進まなかった貸店舗+上階住戸(23区内)

【状況】

  • 1階:長年営業する飲食店テナント
  • 2階:過去にオーナー家族が居住、現在は空き家
  • 建物老朽化と耐震不足が顕著
  • 先代オーナーの代から「立退き交渉」だけが続き、10年以上手つかず

【課題】

  • テナントは近隣での営業継続を希望
  • オーナー側は「そろそろ解体しないと危険」と焦り
  • お互いの不信感が強く、話し合いが止まっていた

【ホームワーク株式会社の対応】

  1. 弁護士・不動産会社とチームを組み、
    • 建物の老朽度診断(耐震性含む)
    • テナントの売上・営業形態のヒアリング
    • 周辺の代替店舗候補調査
      を実施
  2. 「解体・土地売却」「リノベして賃貸併用住宅」「一棟賃貸ビル」といった
    複数の出口プランと収支シミュレーションをオーナーに提示
  3. オーナー・テナント双方と
    • 解体の必要性(安全性・将来リスク)
    • 代替店舗候補(内見同行・条件交渉)
    • 立退き料+移転費用+営業補償
      をセットにした提案で再交渉

【結果】

  • テナントは、近隣の別テナントビルへ移転し営業継続
  • 立退き完了後、ホームワーク株式会社が解体工事を実施
  • 更地として売却し、当初の「テナント付き老朽ビル」としての査定価格より
    オーナー手取りが約30%アップ

事例② 高齢入居者が拒否していた賃貸戸建(郊外エリア)

【状況】

  • 築40年以上の戸建
  • 単身高齢者が20年以上居住
  • 相続人が売却希望だが、入居者が「ここを終の棲家にしたい」と強く希望

【ホームワーク株式会社の対応】

  1. 行政の高齢者住宅窓口と連携し、
    • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
    • 公営住宅の空き状況
      などを調査
  2. 入居者・その親族を交えた面談を複数回設定し、
    • 健康状態
    • 生活の不安
    • 希望する暮らし方
      を丁寧に確認
    • サ高住への入居一時金・引越し費用の一部負担
    • 現在の家賃との差額補助(一定期間)
      を盛り込んだ立退き条件を提示
  3. 退去後、最低限の耐震補強+内装リフォームを行い、
    ファミリー向け中古戸建として売却

【結果】

  • 入居者は、見守りサービス付きの住環境に移り、
    本人・家族ともむしろ安心感が増したとコメント
  • 物件は近隣の若い家族に購入され、
    「高齢入居者付きのまま売却」案よりも相続人の手取りが大幅改善

専門家コメント(ホームワーク株式会社)

ホームワーク株式会社
(空き家・賃貸中物件・立退き案件を多数扱うリフォーム会社)

「立退き交渉が難航しているオーナー様からのご相談で、一番多いのは
『自分が悪いことをしているようでつらい』というお気持ちです。

私たちは、オーナー様・借主様どちらか一方だけの味方ではなく、

  • 建物の安全性
  • オーナー様の資産状況・家族構成
  • 借主様の生活実態

を丁寧に確認したうえで、
“誰も極端に損をしない形”を探る役割だと考えています。

大切なのは、

  1. 立退きをゴールにするのではなく、“その先の出口(売却・活用)”を明確にすること
  2. その出口から逆算して、『どこまで立退きにコストと時間をかけられるか』を決めること
  3. それでも難しい場合は、『借主付きのまま売る』『現状のまま業者に譲る』という選択肢も冷静に比較すること

です。

リフォーム会社としては、

  • 解体 or リノベ、どちらが合理的か
  • どの程度の投資で、どこまで売却価格を上げられるか
  • 投資家向け・実需向け、それぞれの売却シミュレーション

を数字でお見せしながら、
弁護士・不動産会社と一緒に、
『感情論ではなく、現実的な落としどころ』を形にしていきます。

『立退きが難航している=もうどうにもならない』ではありません。
一度、“立退きありき”の考え方を手放して、
売却ルート全体を一緒に整理してみることをおすすめします。」


よくある質問(FAQ)

Q1. 立退き交渉が行き詰まったままでも、不動産を売ることはできますか?
A. 可能です。

  • 借主付きのまま投資家に売る(オーナーチェンジ)
  • 立退きリスクを含めて業者に買取してもらう
    などの方法があります。
    「立退きが終わらないと売れない」と決めつける必要はありません。

Q2. 立退き交渉が長引いている場合、物件の価値は下がりますか?
A. 放置期間が長くなるほど、

  • 建物の老朽化
  • 空室部分の劣化・雨漏り
  • 近隣とのトラブルリスク
    などが増え、結果的に価値を下げる要因になります。
    交渉が難航していると感じた段階で、「売却ルートの見直し」を検討するのがおすすめです。

Q3. 立退き料を支払わずに出て行ってもらうことはできますか?
A. 法律上、必ず立退き料が必要と決まっているわけではありませんが、
実務上は「立退き料ゼロ」での合意はかなり難しいのが現実です。
特に長期入居者や店舗テナントの場合は、
適切な補償がないと正当事由が弱いと判断されやすくなります。


Q4. 借主との関係が悪化しています。この状態で売却しても大丈夫でしょうか?
A. 売却自体は可能ですが、

  • 新オーナーとの関係構築がさらに難しくなる
  • トラブルが顕在化して物件価値に影響する
    リスクがあります。
    弁護士・不動産会社を間に入れて、
    最低限のコミュニケーション設計をした上で売却することをおすすめします。

Q5. 「借主付きで投資家に売る」場合、家賃が安すぎても売れますか?
A. 賃料が相場より極端に安い場合、

  • 利回りが低く、投資家からの評価は下がります。
    ただし、
  • 将来の賃料是正の余地
  • リノベ後の賃料アップ余地
    を数字で示せれば、検討対象になることもあります。

Q6. 立退き後に解体するか、リフォームするか迷っています。どちらが売りやすいですか?
A. 立地・建物の状態・周辺ニーズによります。

  • 土地ニーズが高いエリア → 更地売却が有利なことも多い
  • 戸建・アパートニーズが強いエリア → リノベして建物ごと売る方が手取りが多いことも
    ホームワーク株式会社では、
    「解体」「最低限リノベ」「しっかりリノベ」の3パターンで、費用と売却価格の比較を行っています。

Q7. 自分でここまで交渉してきましたが、途中からプロに引き継ぐことはできますか?
A. 可能です。
これまでの経緯(会話メモ・書面・メールなど)を整理したうえで、
弁護士・不動産会社・リフォーム会社がチームで引き継ぐことができます。
むしろ、「これ以上自分一人では難しい」と感じたタイミングが、プロへのバトンタッチの適切な時期です。


Q8. 立退き交渉をしていることを、近隣に知られたくありません。相談しても大丈夫ですか?
A. 専門家には守秘義務があります。
オーナー様の許可なく、近隣や第三者に情報が漏れることはありません。
「どこまで・いつ誰に伝えるか」も含めて、一緒に設計していきます。


Q9. 立退き完了後、売却せずに賃貸として運用する相談もできますか?
A. 可能です。
ホームワーク株式会社では、

  • リノベ内容と賃料相場のシミュレーション
  • 売却 vs 賃貸 どちらがトータルで有利かの比較
    を行い、オーナー様にとって最適な出口戦略を一緒に検討します。

Q10. 何から相談していいか分かりません。最初に準備すべき情報は?
A. 次の3つが分かれば、初回相談には十分です。

  • 物件の所在地と種類(戸建・アパート・店舗・借地など)
  • 借主の状況(居住か店舗か/入居年数/家賃)
  • オーナー様のご希望(いつまでに・どのくらいの金額で・どこまで自分で動く気があるか)

これをもとに、

  • 「立退きを続けるべきか」「別の売却ルートに切り替えるべきか」
  • 「解体・リノベ・現状渡し」のどれが合理的か

を、ホームワーク株式会社と連携専門家が整理してお伝えします。

立退き交渉が難航していると感じた今が、
売却・活用の方法を見直す“ベストタイミング”です。

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