【結論】「売りにくい不動産」は存在するが、ターゲットと出口戦略を変えれば売却は十分可能
一般のエンドユーザー(マイホーム購入層)には敬遠されやすく、
通常の仲介では長期化・値下げが避けられない「売りにくい不動産」はたしかにあります。
ただし、
- 「なぜ売りにくいのか(敬遠される理由)」
- 「どの層なら価値を感じるのか(ターゲットの再設定)」
- 「どんな売り方・出口を選ぶべきか(出口戦略)」
を整理すれば、売却自体が不可能になるケースはごく一部です。
重要なのは、
- 自分の不動産が「どのタイプの“売りにくさ”に当てはまるか」を正確に知る
- 一般市場(マイホーム層)だけを相手にせず、プロ・投資家・隣地なども視野に入れる
- 仲介/買取/活用/権利調整など、複数の出口戦略から選ぶ
という3ステップで考えることです。
以下では、
- 一般市場で売りにくい不動産の典型パターン
- 敬遠される具体的な理由
- タイプ別の現実的な出口戦略
- 実際にどう動くかのステップ
を整理して解説します。
一般市場で「売りにくい不動産」の代表例
まずは、「普通のマイホーム購入者」に敬遠されやすいパターンを整理します。
① 立地・需要面で売りにくい不動産
- 人口減少・高齢化が進んでいる地方・郊外エリア
- 駅やバス停から遠く、車必須の立地
- 周辺に空き家・空き地が多く、将来の需要に不安がある
- そもそも住宅需要が薄い工業地域・準工業地域の住宅
→ 「ここに住みたい人」が少なく、エンドユーザーの母数が小さいタイプです。
② 建物・状態に難がある不動産
- 築年数がかなり古い(築40年〜50年以上等)
- 長年の空き家で、雨漏り・腐食・シロアリなどの懸念が大きい
- ゴミ屋敷・残置物大量・室内のダメージが大きい
- 増改築を繰り返して間取りが極端・使いにくい
→ 一般の買主は「リフォーム費用と手間」を想像して敬遠しがちです。
③ 法律・権利関係に難がある不動産
- 再建築不可(接道条件を満たしていない)
- 私道・位置指定道路・セットバックなど、道路条件に問題がある
- 違法建築・容積率オーバー・検査済証なし+増改築あり
- 借地権付き・底地・共有名義・相続未了など権利が複雑
→ 住宅ローンが通りにくく、現金買い・プロ向けになりがちなタイプです。
④ 心理的・周辺環境に難がある不動産
- 事故物件(自殺・他殺・火災等)の履歴がある
- 近隣トラブル、クレーム履歴、反社会勢力の事務所などが近隣にある
- 騒音・臭気・治安など、マイナスイメージが強い環境
- 墓地・火葬場・高圧線・工場などへの心理的抵抗
→ 「住み心地・イメージ」を重視する一般購入者から避けられます。
⑤ 利用用途が限定される不動産
- 超狭小地・旗竿地・極端な三角地
- 極端な傾斜地・崖地・土砂災害警戒区域など
- 接道幅が狭く車が入れない/高低差が大きい
→ 「普通の住宅」として使いづらく、特殊用途にしか向かないタイプです。
なぜ一般市場で敬遠されるのか?主な4つの理由
売りにくくなる根本理由は、おおむね次の4つに集約できます。
理由① 住宅ローンが付きにくい(=買主が大きく制限される)
- 再建築不可
- 違法建築
- 接道不良・私道権利不明
- 土地としての価値が低く、担保評価が出にくいエリア
こうした物件は、多くの銀行が融資を渋り、
「現金で買える人」「特殊なローンを使えるプロ」しか買えない
=一般のサラリーマン家庭では手が出しにくい状況になります。
理由② 将来の「出口(売却)」がイメージしづらい
- いつか自分が売るときにも困りそう
- 子ども世代が引き継ぎたがらなさそう
- 地域の将来人口が減る方向にある など
買主側も「将来困りそう」と感じる物件には、
最初から手を出さない傾向があります。
理由③ 手間とコストの見通しが立てにくい
- 解体費用がどれくらいかかるか分からない
- リフォームで直せるのか、建替えレベルなのか分からない
- 法律・権利の問題で、何をどこまで直せるのか不明
「見えないリスク」が多い物件は、
価格が安くても一般層には敬遠されやすくなります。
理由④ 心理的な抵抗・イメージの悪さ
- 事故物件・ゴミ屋敷・近隣トラブルなどの履歴
- “なんとなく怖い・暗い・うるさい”といったイメージ
これは合理性だけでは割り切れず、
値段を下げても埋まらない原因になることがあります。
タイプ別「出口戦略」:誰に・どう売るかを変える
「売りにくい=価値がない」ではありません。
“誰に”と“何として”売るかを変えれば、出口は見つかります。
1. 立地・需要に難がある不動産:投資家・事業者・隣地を狙う
ターゲット例
- 駐車場・資材置き場・車両基地にしたい建設業・運送業者
- 事務所兼倉庫・小規模工場として使いたい事業者
- 隣地所有者(敷地拡張・駐車場・庭の拡大)
出口戦略
- 「住む家」ではなく、「事業用地・収益用地」として売る
- 用途地域・騒音・トラック出入りなど、事業目線の情報を整理する
- 近隣企業・隣地所有者へのピンポイント営業を不動産会社に依頼する
2. 建物・状態に難がある不動産:更地 or “素材”として売る
ターゲット例
- 建売業者・デベロッパー(解体前提)
- リノベーション投資家
- DIY前提の低予算マイホーム層(一部)
出口戦略
- 「古家付き土地」→「更地渡し」「解体費見込みを反映した価格」へ発想転換
- 建物を「スクラップ(解体前提)」と見て、土地値ベース+αで価格設定
- 片付け・解体を売主がやるか/やらずに価格で調整するかをシミュレーション
3. 法律・権利に難がある不動産:プロ・専門家向けに売る
ターゲット例
- 再建築不可・違法建築・私道問題などを得意とする買取業者
- 「権利調整→再生」をビジネスにしている投資家
- 隣地所有者・底地権者・借地権者など特定利害関係者
出口戦略
- 一般ポータルだけでなく、不動産業者・投資家ネットワークを活用
- 再建築不可は「再建築不可」と正直に出し、家賃・利回り・解体更地想定などを提示
- 借地・底地・共有・位置指定道路などは、
「どう権利調整すると価値が上がるか」を一緒に整理してから募集
4. 心理的・周辺環境に難がある不動産:情報開示+価格調整
ターゲット例
- 事故物件再生を専門とする業者・投資家
- 周辺相場よりかなり安ければ買う層(投資・自宅兼用)
- 同じエリアに地縁がある人(家族・親族が近くに住んでいる等)
出口戦略
- 事故・トラブル履歴を隠さず開示し、その上で価格で勝負
- 「告知義務期間が過ぎた後」や、「リフォーム・用途変更後」の再販売も視野に
- ネガティブ情報を、いつ・どこまで・どう説明するかを不動産会社と設計
5. 利用用途が限定される不動産:ニッチ用途に特化して訴求
ターゲット例
- ガレージハウス・バイク基地・趣味スペースが欲しい人
- 倉庫・アトリエ・小規模オフィスとして使いたい層
- 週末別荘・ワーケーション拠点などのサブ用途希望者
出口戦略
- 「普通の家」としてではなく、「趣味×仕事×住まい」など複合ニーズでPR
- ポータルでの見せ方(写真・タイトル・説明文)を用途特化に変える
- 駐車・騒音・作業性など、“住む以外の強み”を前面に出す
実務で取りうる4つの出口戦略
「売りにくい不動産」でも、組み合わせ次第で出口は広がります。
出口① 通常仲介:ターゲットと見せ方を変えて売る
- エンドユーザー+投資家+事業者など、ターゲットを広げる
- ポータルの掲載内容を「問題のない普通の家」から
**「条件付きだが割安」「用途限定だがハマる人にはお得」**に切り替える - 権利関係・法令制限は隠さず記載しつつ、具体的な活用イメージを伝える
出口② 買取:価格を割り切り、スピードと確実性を優先
- 再建築不可・違法建築・ゴミ屋敷・相続未了など、
普通の仲介では長期化・トラブルが予想される場合、 - 「買取業者・投資家にまとめて渡す」ことで、
- 早期現金化
- 手間とリスクの大幅軽減
を優先する戦略です。
※買取価格の目安
→ 仲介での想定成約価格の60〜80%程度が多い(物件によって前後)
出口③ 活用してから売る(収益化 or 整理後の売却)
- 空き家 → 賃貸化 → 収益物件として投資家に売る
- 古家付き土地 → 駐車場に転用 → 実収益を見せながら売る
- ゴミ屋敷 → 片付け+簡易リフォーム後に通常相場に近い価格で売る
「今すぐ売ると安すぎる」場合に、
一度活用・整備してから売ることで、
出口価格を引き上げる狙いがあります。
出口④ 権利・法的問題を整理してから売る
- 相続登記・遺産分割を完了させる
- 私道持分の取得・覚書の締結
- 借地であれば地主と協議して条件を整理
- 違法建築部分の是正・解体
「問題を抱えたまま安く売る」のではなく、
問題を事前に整理して“普通に売れる状態”に近づける戦略です。
実際の進め方:売りにくい不動産を動かすための5ステップ
ステップ① 「何が売りにくさの原因か」を棚卸しする
- 立地か?建物か?法令か?権利か?心理的要因か?
- 1つではなく、要因が複数重なっていないか?
- 自分の思い込みで「売れない」と決めつけていないか?
不動産会社と一緒に、原因を言語化することが出発点です。
ステップ② 普通に売れた場合と、今のままの査定を両方出してもらう
- 「もし問題がなければこのくらい」という参考相場
- 「現状の条件だとこのくらい」というリアルな査定
- 買取した場合の価格レンジ
を数字で並べると、
「どの問題がどれくらい価格を押し下げているか」
が見えてきます。
ステップ③ 自分の優先順位を決める(価格・スピード・手間・精神的負担)
- 価格を最大化したいのか
- 相続・離婚・住み替えなどで期日が決まっているのか
- 片付け・工事・交渉などに自分がどこまで関われるか
- 問題を抱え続けるストレスから早く解放されたいのか
これによって、
- 「整理してから売る」のか
- 「整理せず割り切って売る」のか
- 「一度活用してから売る」のか
の方向性が変わります。
ステップ④ 不動産会社に「出口別シミュレーション」を依頼する
- 仲介:
- 想定売却価格
- 販売期間
- 想定ターゲット
- 買取:
- 買取価格
- 決済までのスケジュール
- 整理・解体・活用した場合:
- かかる費用
- その後の売却価格の目安
など、出口ごとに「手取り・期間・手間」の比較表を作ってもらうと、
判断が格段にしやすくなります。
ステップ⑤ 必要に応じて、弁護士・税理士・司法書士とも連携する
- 権利関係(相続・借地・共有・私道など)が絡む場合 → 司法書士・弁護士
- 税金(譲渡所得税・相続税・贈与税)が大きい場合 → 税理士
- 違法建築・再建築不可・法令制限 → 建築士・行政窓口
不動産会社だけで判断しきれない部分は、
早めに関連専門家を巻き込むことが、結果的に近道です。
専門家コメント
ホームワーク株式会社 代表取締役(難物件・出口戦略担当)
- 再建築不可・事故物件・相続未了・借地・私道問題など「一般には売りにくい物件」の売却実績多数
- 仲介+買取+権利調整+活用を組み合わせた出口戦略の提案を行う
コメント
「『うちの物件は売れないだろう』『どうせ二束三文だろう』と
最初からあきらめてしまっているオーナー様は、とても多いです。
現場の実感としては、
- “一般のマイホーム層には売りにくい物件”は確かにありますが、
- “誰にも売れない物件”はごく少数です。
違いを生むのは、
- 何が売りにくさの原因かを正しく把握できているか
- 誰をターゲットに、どんな条件で売ろうとしているか
- 問題をどこまで事前に整理するか/価格で割り切るか
の設計です。
大事なのは、
- 『普通の家として売る』という前提をいったん外すこと
- 『こういう人なら価値を感じてくれるかもしれない』層を一緒に探すこと
- そのうえで、価格・スケジュール・手間のバランスを決めること
だと考えています。
『売れるのかどうかもよく分からない』という段階からで構いませんので、
まずは物件の状況と、ご自身が何を優先したいかを聞かせていただければ、
取りうる出口戦略を一緒に整理してご提案します。」
よくある質問(FAQ)
Q1. 一般市場では売りにくい不動産でも、本当に売却はできますか?
A. ほとんどのケースで可能です。
ただし、
- 買主の層(一般→投資家・事業者・隣地など)
- 売り方(仲介→買取・権利調整・活用)
- 価格水準
を現実的に設計し直す必要があります。
Q2. 売りにくい不動産は、必ず買取にしたほうがいいですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。
- 時間と手間を許容できるなら、仲介で「ハマる買主」を待つ選択肢もあります。
- スピード・確実性・リスク回避を優先するなら買取が有力になります。
不動産会社に両方のシミュレーションを出してもらい、比較して決めるのがおすすめです。
Q3. 再建築不可や違法建築など、ローンが付きにくい物件でも売れますか?
A. 売れますが、買主は現金買いの投資家・業者が中心になります。
建物価値ゼロ〜小さめ、土地値ベースでの評価になることが多く、
価格ディスカウントは避けられません。
Q4. 事故物件の場合、どれくらい値下げが必要ですか?
A. 目安として、
- 近隣の類似物件より2〜3割程度低い価格から検討されることが多いです。
事案の内容・経過時間・リフォームの有無などで差が出るため、
個別査定が必須です。
Q5. ゴミ屋敷や大量の残置物がある物件は、そのまま売れますか?
A. 不動産会社や投資家の買取では、
「残置物込み・現況渡し」での売却が可能なケースが多いです。
一般のエンドユーザー向け仲介では、片付けてからの方が売りやすくなります。
Q6. 売りにくいと分かっている物件を、相場並みの価格で出しても大丈夫ですか?
A. 高すぎる価格で出すと、
- 内覧すら入らない
- 「売れ残り物件」の烙印が押される
- 結局大幅値下げになる
というパターンが多いです。
最初から「条件を織り込んだ価格設定」が現実的です。
Q7. まずは普通の仲介で出して、ダメなら買取に切り替えることはできますか?
A. 多くの会社で可能です。
「◯ヶ月間は仲介で販売 → 売れ残ったら事前に提示した価格で買取」という
買取保証の仕組みを用意している会社もあります。
Q8. 売りにくそうな物件でも、リフォームした方が高く売れますか?
A. 物件によります。
- 需要がしっかりあるエリア・構造なら、リフォームで価格アップが見込める場合もあります。
- 立地や法令面に課題が大きい場合は、リフォームしても「土地値+α」評価から大きくは外れないことも多いです。
リフォーム費用と価格アップ幅のシミュレーションが不可欠です。
Q9. 売りにくい不動産をそのまま相続させるのは、やはり良くないですか?
A. 利用予定がなく、維持・処分が難しい不動産を
そのまま次世代に渡すと、
- 税金・管理の負担
- 売却・権利整理の手間
を子ども世代が背負うことになります。
生前のうちに「整理して売る/活用する/分筆する」など、
一定の方向性をつけておく方が無難なケースが多いです。
Q10. まず何から相談すればよいですか?
A.
- 物件の基本情報(所在地・土地建物の面積・築年数・現況)
- 自分が感じている「売りにくさ」(気になっている点)
- いつまでに・どの程度の価格で売れたらいいかの希望
この3点を整理して、不動産会社に
「一般には売りにくそうだが、どんな出口がありそうか」
という聞き方で相談すると、建設的な提案を受けやすくなります。
千代田区で不動産売却をご検討の方へ
不動産売却は、
流れを理解したうえで進めることで
不安と失敗を大きく減らせます。
ホームワークでは、
千代田区の不動産売却について、
準備段階から引き渡しまで
一貫してサポートしています。
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