【結論】位置指定道路に“問題がある”物件も売却は可能だが、「何が問題か」を整理しないと価格も買い手も決まらない
位置指定道路に接している不動産は、一見「ちゃんと道路に接している土地」に見えますが、
- 道路の幅員が足りない
- 位置指定の取り消しリスクがある
- 共有持分や管理義務があいまい
- 行政から“道路扱い”されない可能性がある
といった問題を抱えていると、
- 建て替えが制限される
- 金融機関が住宅ローンに慎重になる
- 建築士・不動産会社・買主が“怖い”と感じる
結果として「売却が進みにくい土地」になりがちです。
ただし、
- 位置指定道路の“どこに”問題があるのか
- その問題が「致命傷」なのか、「条件付きで許容できるもの」なのか
を整理し、
- 建て替え可否・再建築条件
- 道路の維持管理・負担の範囲
- 将来のリスク
をきちんと説明できるようにすれば、
一般のエンドユーザー向け
または
条件を理解した投資家・業者向け
として、売却の道筋をつけることは十分可能です。
以下では、
- 位置指定道路とは何か
- 「問題がある」と判断される典型パターン
- 売却が止まりやすい本当の理由
- 実務的な整理・対処の進め方
をわかりやすく整理します。
位置指定道路とは?まず“前提”の整理から
位置指定道路の基本
「位置指定道路」とは、
- 道路法上の“公道”ではなく
- 建築基準法上で「道路として扱ってよい」と
行政(建築主事)が“位置を指定した私道”
のことです。
ざっくり言うと、
もともと公道に面していない土地を分譲するために、
開発者が自分の土地の一部を**“道路として使う”**前提で
行政の指定を受けた私道
と考えるとイメージしやすいです。
この位置指定道路に、敷地が
- 建築基準法の接道義務(原則4m以上の道路に2m以上接道)
を満たす形で接していれば、
建築可能な敷地として扱われるのが基本ルールです。
「位置指定道路に問題がある」とされる典型パターン
位置指定道路がらみで売却が難しくなるのは、次のようなケースです。
- 道路の幅員・形状が基準を満たしていない可能性がある
- 位置指定の“履歴”や書類が残っていない
- 道路の所有者・共有者・管理責任があいまい
- 道路内に工作物・越境・違法駐車などがあり、実質的に道路として使えない
- 行政から「今後、位置指定を取り消す可能性がある」と言われている
それぞれ、もう少し具体的に見ていきます。
パターン① 幅員4m未満・カーブ部分が狭い など“物理的に”基準未満の疑い
位置指定道路は原則、
- 幅員4m以上
- 車両の通行に支障がない形状
などの条件が求められます。
しかし現場では、
- 一部で3m弱に狭くなっている
- 曲がり角の内側が削れておらず、実質通り抜け困難
- 電柱・ブロック塀・植栽などがはみ出していて
有効幅員が4m未満
といったケースがよくあります。
→ 行政の建築指導課に確認すると、
- 「図面上は4mだが、現況は4m未満なので指導対象」
- 「将来、セットバックが必要になる可能性がある」
と言われることもあり、建て替え時の不安材料になります。
パターン② 位置指定の図面・番号・決裁文書が見当たらない
古い分譲地などでは、
- 昔、位置指定を受けているはずだが
- 行政側の古い台帳・図面に残っていない
- 或いは、所有者側に一切書類が残っていない
というケースもあります。
→ この場合、
- 行政が「この道路を位置指定道路として認める/認めない」の判断を
あらためて行う必要が出てくることがあり、 - “建築基準法上の道路かどうか”がグレーになる
ため、建て替えや新築を計画する買主にとっては、
大きな不安要素になります。
パターン③ 道路の所有者・共有者・管理責任がバラバラ
位置指定道路は私道のため、
- 分譲地内の所有者全員が持分を共有している
- 一部の区画だけが私道持分を持っている
- 開発業者や第三者がまだ所有したまま
など、持分の持ち方がさまざまです。
さらに、
- 陥没・舗装・排水溝の清掃などの負担
- 給水管・下水管・ガス管の修繕責任
- 除雪・草刈りなどの維持管理
を「誰が・どう負担するか」が、
書面で決まっていないことも非常に多いです。
→ 買主からすると、
- 「将来、自分が道路の修繕を全部負担させられるのでは?」
- 「他の共有者とトラブルにならないか?」
といった不安から、購入を躊躇する理由になります。
パターン④ 道路内に駐車・物置・花壇など“障害物”が常態化
- 位置指定道路なのに、近隣住民が
- 自宅の車を駐車している
- 花壇・塀・物置を置いている
- ゴミ置場に使っている
など、道路としての機能が損なわれているケースです。
→ 建築確認の審査では、
- 「実際に自動車が通れる状態か」
- 「消防車・救急車が入れるか」
もチェックされるため、
こうした障害物があるままだと、
建築許可が通りにくくなるリスクがあります。
パターン⑤ 行政から「位置指定の取り消し・見直し」の話が出ている
- 昔の基準で位置指定された道路が
- 現在の基準から見て危険
- 周辺開発との整合が取れない
と判断されると、
- 位置指定の取り消し
- もしくは「一定条件を満たすまでは新築・建て替え不可」
といった運用方針が示されることがあります。
→ こうなると、
- 今ある建物はそのままでも
- 将来の建て替えや増改築に、大きな制約がかかります。
なぜ「位置指定道路に問題がある物件」は売却が止まりやすいのか
理由① 買主の最大の関心は「将来ちゃんと建て替えられるか」だから
住宅用地として買う人の多くは、
- 将来、自分好みの家に建て替えたい
- 子ども世代に引き継いだときも使い勝手が良い状態を残したい
と考えます。
位置指定道路に問題があると、
- 「今は建物があるからいいとしても、建て替えられないのでは?」
- 「銀行ローンが付かないのでは?」
という不安が大きくなり、
検討の土俵にすら乗らないことがあります。
理由② 銀行・住宅ローンの審査が厳しくなる
金融機関は、
- 「建築基準法上の道路に接しているか」
- 「再建築性が確保されているか」
を重視します。
接道条件があやしい/位置指定に疑義あり
→ 担保評価が低くなる
→ 借入額を抑えられる or 審査が通らない
という流れになりやすく、
現金買主か、属性の強い人しか対象にならないケースも出てきます。
理由③ 不動産会社・建築士が「リスクを嫌がる」
位置指定道路の問題は、
- 行政の運用
- 過去の経緯
- 近隣住民との関係
など、個別事情の塊です。
- 一般的なマニュアルで判断しにくい
- 後からクレーム・トラブルになるリスクがある
ため、不動産会社・建築士の中には、
「面倒そうなので扱いたくない」
「はっきり『大丈夫』と言い切れない」
というスタンスを取るところも多く、
結果として売却が進みにくくなります。
売却を目指すなら:まず整理すべき「3つのポイント」
位置指定道路に問題がある物件でも、
次の3点を整理できれば、
“売れる状態”に近づけることができます。
- 行政(建築指導課)が“どう認識しているか”
- 道路の所有・管理・負担のルールがどうなっているか
- 将来の建て替え・再建築にどこまで制約があるか
ポイント① 行政は「この道路をどう見ているか」
まず、不動産会社や建築士を通じて
- 市区町村の建築指導課・道路管理課 などに
「位置指定道路の台帳・図面・指定番号」を確認
し、
- 正式に位置指定を受けた私道なのか
- いつ・どのような条件で指定されたのか
- 現況と図面に差異がないか
を把握します。
ここで、
- 「現況も含めて、位置指定道路として有効」
と確認が取れれば、建て替えリスクは相対的に低くなります。
逆に、
- 「台帳に記録がない」「現況が基準を満たしていない」
となれば、追加の調査・協議が必要です。
ポイント② 所有権・共有関係・管理責任の“ルール”
- 道路の登記簿を取得し、
- 所有者は誰か(個人/共有/法人/行方不明者など)
- 持分割合
を確認する
- 分譲時の重要事項説明書・管理規約・開発協定などがあれば、
- 道路の維持管理・修繕負担のルール
- 給排水・ガス・電気の配管ルール
も合わせてチェックします。
書面がない場合でも、
- 近隣住民に聞き取り
- 過去の修繕実績(誰がいくら負担したか)
などから、
“実質的な慣行”を把握しておくことが重要です。
ポイント③ 建て替え・増改築に関する行政の見解
- 現在の建物が「合法的に建っているか」(既存不適格でないか)
- 将来の建て替え時に、
- セットバック義務
- 階数・高さの制限
- 延床面積の縮小
など、どの程度の制約が見込まれるか
を、建築士・行政と一緒に確認します。
この情報が整理できていれば、
- エンドユーザーには
「建て替え時にはこれくらいの制約があります」と説明 - 投資家・業者には
「この条件なら、何戸・どんなボリュームで建てられます」と提示
できるため、不確実性が減り、検討に乗りやすくなります。
売却を進める際の現実的な選択肢
位置指定道路に問題がある不動産の売却は、
大きく次の3パターンの方向性があります。
- できる限り問題を是正・整理してから売る
- 問題を抱えたまま、条件を開示して売る
- 専門の買取業者・再生業者にまとめて売る
選択肢① 問題を是正・整理してから売る
例:
- 道路内のブロック塀・植栽・駐車を撤去し、有効幅員4mを確保
- セットバックラインを近隣と合意し、書面化
- 管理ルールを近隣で話し合い、簡単な協定書を作る
メリット:
- 一般のエンドユーザーにも売りやすくなる
- 銀行ローンが通りやすくなり、売却価格も高くなりやすい
デメリット:
- 近隣との調整に時間と労力がかかる
- 測量・補修・撤去等の費用負担が発生する
選択肢② 問題を抱えたまま、“現状有姿”で開示して売る
- 位置指定道路の現況・問題点を
不動産会社・建築士の調査結果としてまとめる - 買主には
「このリスクを承知のうえで購入してください」と
重要事項説明・契約書の特約で明確にする
メリット:
- 是正・協議が難しい場合でも売却の道が残る
- 投資家・小規模事業者など、“リスクを織り込める層”に刺さる
デメリット:
- 一般のエンドユーザーには敬遠されやすい
- 価格は相応にディスカウントが必要になる
選択肢③ 専門の買取業者・再生業者に売る
- 位置指定道路・私道・再建築不可・接道難
などの問題物件に慣れた業者に、
まとめて買い取ってもらうパターンです。
メリット:
- 売却スピードが早い
- 近隣調整・行政との折衝など“面倒な部分”をプロに引き継げる
- 将来のクレーム・トラブルリスクからほぼ解放される
デメリット:
- 仲介による一般売却より、売却価格は下がりやすい
実務でよくあるQ&A的ケース整理
ケース1:位置指定道路が4m未満の区間が一部ある
- 現況有効幅員:3.6m〜4.0m
- 図面上は4mで指定済み
【対応イメージ】
- 測量+現況確認で「どこが狭いか」を特定
- ブロック塀・植栽など、私有物が原因なら、
所有者と交渉し、撤去 or セットバックを検討 - 行政に相談し、
「この状態で建築確認が通るか」「どの程度是正が必要か」を確認
→ 是正が現実的なら、是正後に一般市場で売却。
難しい場合は、投資家・業者向けに“現状有姿”で売却を検討します。
ケース2:位置指定道路の所有者の一部が行方不明
- 道路が10名で共有
- うち2名が高齢・所在不明
【対応イメージ】
- 司法書士・弁護士に相談し、
行方調査・相続関係の確認を行う - 是正や持分整理が困難な場合は、
「現状でも日常利用に支障がない」「建築確認も通ってきた実績がある」ことを
資料で示し、
投資家・業者向けに売却する方向を検討
→ 金額・スピード・将来リスクのバランスを見て、
“どこまで整理にコストをかけるか”を決めることが重要です。
ケース3:位置指定道路だと思っていたが、実は“ただの私道”だった
- 過去の分譲図面に「位置指定道路」と書いてある
- しかし行政台帳には登録なし
【対応イメージ】
- 建築指導課で「建築基準法上の道路として扱えるか」を協議
- 場合によっては、改めて位置指定を取り直すか、
二項道路等の扱いを検討 - 手続き・費用・期間が大きくなる場合、
そのコストと将来の資産価値を比較して判断
→ “ただの私道”のままでは、再建築不可に近い扱いになることもあるため、
早めの確認が必須です。
専門家コメント
ホームワーク株式会社 代表取締役(私道・再建築可否・問題物件担当)
- 位置指定道路・私道・再建築不可・接道難物件の売却を多数サポート
- 建築士・司法書士・測量士・買取業者とのネットワークを活用して問題解決を支援
コメント
「位置指定道路に問題がある物件は、
一見すると“普通の住宅地”に見えるため、
売主様ご自身も長年そのリスクに気付いていないことが少なくありません。
実務上は、
- 行政の台帳・図面
- 現地の実測
- 近隣の利用実態・トラブルの有無
を総合的に見て、
- 建築基準法上の道路として“どこまで大丈夫か”
- 建て替え・増築の際に“何が条件になるか”
- その状態で“誰に・いくらくらいで売るのが現実的か”
を整理していく作業が重要です。
『位置指定道路に問題があるから売れない』と
白黒で決めつけるのではなく、
- できる範囲で是正して一般市場に出すのか
- 問題を開示したうえで、理解ある買主に託すのか
- まとめて専門業者に引き継ぐのか
といった複数の選択肢の中から、
ご家族の事情・時間軸・リスク許容度に合わせて
“ベストではなくベターな着地点”を一緒に探していくことが大切だと感じています。」
よくある質問(FAQ)
Q1. 位置指定道路に問題がある土地は、まったく売れないのでしょうか?
A. いいえ、「売れない」わけではありません。
問題の内容と程度によりますが、
- 是正・整理を行ったうえで一般エンドユーザー向けに売る
- 問題を開示して投資家・業者向けに売る
- 専門買取業者にまとめて売る
といった選択肢があります。
Q2. 位置指定道路かどうかは、どこで確認できますか?
A. 一般的には、
- 市区町村の建築指導課・道路担当課
- 各自治体の「位置指定道路台帳」
で確認します。
不動産会社や建築士に依頼すれば、
台帳の閲覧・現地確認を含めて調査してもらえることが多いです。
Q3. 位置指定道路の幅が4mないと言われました。建て替えはできませんか?
A. ケースバイケースです。
- 障害物を撤去して4m確保できるのか
- セットバック(敷地の一部を道路として提供)で対応できるのか
- それでも難しいのか
を、建築指導課と建築士に確認する必要があります。
Q4. 道路の所有者が全員そろっていないと、売却はできませんか?
A. 建物敷地そのものの売却は可能でも、
道路の問題が解決しないと、
買主が建築・建て替えに不安を感じ、
結果として「売れにくい」「安くなる」ことが多いです。
必要に応じて、司法書士・弁護士も交えて整理方針を検討します。
Q5. 位置指定道路に面した再建築不可物件と言われました。本当に建て替えられませんか?
A. 「位置指定道路に接している=必ず建築可」ではありません。
接道距離・幅員・位置指定の有効性などを総合的に見て判断されます。
再建築可否は、必ず行政と建築士で個別確認が必要です。
Q6. 売却前に、位置指定道路の問題を全部解決しないといけませんか?
A. 「全部解決」が理想ですが、
現実的には時間・費用・近隣関係のハードルが高いことも多いです。
どこまでを売主側で対応し、どこから先を買主に引き継いでもらうか、
不動産会社と相談してバランスを決めることが大切です。
Q7. 位置指定道路の問題を、売買契約で“免責”にできますか?
A. 特約で「現状有姿・道路に関する一切の責任を負わない」と定めることは可能ですが、
- 故意・重大な不告知
- 法令上の重要な制約
については、免責が認められないこともあります。
特約の文言は、必ず専門家(宅建業者・弁護士)に確認してもらいましょう。
Q8. 専門の買取業者に売る場合、どれくらい安くなりますか?
A. 一般論として、
- 位置指定道路に問題のない物件の相場の
6〜8割程度が目安になることが多いです。
ただし、問題の内容・エリア・再販戦略によって変わるため、
複数社から買取査定を取って比較することをおすすめします。
Q9. 自分で調べるのが不安です。不動産会社に最初から全部任せてもいいですか?
A. 位置指定道路の調査・行政への照会・売却戦略の検討は、
経験のある不動産会社に任せた方がスムーズです。
ただし、調査結果・リスクの内容については
売主様ご自身が理解・納得したうえで進めることが大切です。
Q10. まず何から始めればいいですか?
A.
- 登記簿(敷地・道路)と分譲当時の資料(あれば)を集める
- 位置指定道路の台帳・図面を、行政または専門家を通じて確認する
- そのうえで、位置指定道路や問題物件に詳しい不動産会社に
「売却の可否」「売り出し方」「想定価格レンジ」を相談する
という流れがおすすめです。
“売れない前提”ではなく、**“どういう条件なら売れるのか”**を整理するところから始めましょう。
千代田区で不動産売却をご検討の方へ
不動産売却は、
流れを理解したうえで進めることで
不安と失敗を大きく減らせます。
ホームワークでは、
千代田区の不動産売却について、
準備段階から引き渡しまで
一貫してサポートしています。
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