【結論】「どの契約をやめたいのか」で対応がまったく違う|媒介契約の解約は原則いつでもOK、売買契約の解約は“条件付き”で損失が出ることもある
不動産売却で「やめたい」「やっぱり売りたくない」と思ったときは、
- 不動産会社との 媒介契約(売却を任せる契約) をやめたいのか
- 買主と結んだ 売買契約(売る約束) をやめたいのか
によって、できること・かかるお金・リスクがまったく違います。
大枠では、
- 媒介契約の途中解約:
→ 売主の都合で いつでも解約可能(違約金は原則なし/実費精算はあり得る) - 売買契約の解約:
→ 原則自由にはやめられない
→ 手付金の放棄(売主からなら倍返し)、損害賠償などの可能性がある
という整理になります。
「もう無理だ」と感情で動く前に、
- どの契約をやめたいのか
- 契約書に途中解約や違約時の条項がどう書いてあるか
- いまの段階(まだ売主だけの都合か、相手に損をさせる段階か)
を確認したうえで、冷静に対応策を考えることが大切です。
不動産売却で関わる2つの契約を整理しよう
1. 媒介契約(売却を不動産会社に依頼する契約)
- 相手:不動産会社
- 内容:
- 「この物件の売却を任せます」という依頼
- 専属専任/専任/一般の3種類
- 役割:
- 査定、広告、内覧対応、価格交渉 などの“営業活動”を行ってもらう
2. 売買契約(買主と結ぶ「売ります・買います」の契約)
- 相手:買主(個人・法人)
- 内容:
- 価格
- 引き渡し時期
- 付帯設備・残置物
- 瑕疵担保(契約不適合責任)の範囲
など、取引条件を具体的に取り決める
- 役割:
- 「法的な拘束力をもつ約束」
どちらを“やめたい”と思っているかで話が変わります。
媒介契約(不動産会社との契約)は途中解約できる?
結論:売主の都合で“いつでも解約可能”が原則
宅建業法上、媒介契約は
売主の申出により、いつでも解除できる
と解釈されるのが一般的です。
つまり、
- 「この会社に任せるのは不安になった」
- 「別の会社に変えたい」
- 「そもそも売却自体をいったんやめたい」
という理由でも、基本的には途中解約できます。
ただし注意:実費精算や特約があるかは要確認
媒介契約書の中には、
- 広告実費
- 査定書作成費用
- ホームステージング・写真撮影などの外注費
について、
- 「途中解約のときは実費を請求する」
- 「売主都合の解約時には○万円の負担」
といった特約が書かれていることもあります。
やること
- 媒介契約書の「報酬」「費用負担」「契約期間・解除」あたりの条項を確認
- わからない点は、不動産会社に
「途中で売却をやめたい場合、費用負担はどうなりますか?」
と具体的に質問
媒介契約をやめたいときの現実的な進め方
- 「売却を続けるか/やめるか」「会社を変えるか」自分の方針を整理
- 媒介契約書を読み、費用・期間・解除条件を確認
- 不動産会社の担当者に、
- 売却をやめたい or 依頼先を変えたい理由
- いつのタイミングで解約したいか
を正直に伝える
- 広告実費等の精算がある場合は、見積もり・内訳を確認
多くのケースで、冷静に事情を話せば大きなトラブルにはなりにくい領域です。
売買契約(買主との契約)は途中解約できる?
結論:原則として「一方的にやめる」はできない
売買契約は、
- 売主:「売ります」
- 買主:「買います」
という法的拘束力のある約束です。
売主側の単純な心変わり(「やっぱり売りたくない」など)だけでは、
一方的に契約をなかったことにするのは基本的にできません。
売主側の都合でやめたいときに起こり得ること
一般的な売買契約書には、
- 売主が自己都合で契約を履行しない場合
→ 買主に対して手付金の倍返し+損害賠償の可能性
という内容が書かれていることが多いです。
例:
- 手付金:売買代金の5〜10%(仮に300万円とする)
- 売主から解約を申し出る場合:
→ 手付金300万円を返すだけでなく、同額を加えて600万円返還(手付倍返し) - さらに、買主側に具体的な損害(引っ越し準備費用、ローン関係費用など)があれば、
別途損害賠償を求められる可能性もある
売買契約を「やめられる」主なパターン
1. 手付解除(売主側からの“手付倍返し”)
- 契約書で定めた「手付解除期日」までは、
売主から手付金の倍返しをすることで解約できる場合があります。 - ただし、
- 期日を過ぎている
- すでに履行に着手している
といった場合は、手付解除ができないこともあります。
契約書の、
- 「手付解除」
- 「解除権留保」
といった条項を必ず確認しましょう。
2. ローン特約による白紙解約(主に買主側の事情)
- 買主の住宅ローン審査が通らなかった場合、
売買契約はなかったこと(白紙)に戻すという特約が一般的です。 - これは買主を守るための条項であり、
売主側からこの特約を使って解約することは基本的にできません。
3. お互いの合意による「合意解約」
- 売主と買主が話し合い、
「やむを得ない事情がある」と双方が納得すれば、
契約を解約することも可能です。 - この場合、
- 受け取った手付金を返還
- 実費(調査費用・ローン事務費・引越し準備費用)の一部を売主が負担
など、双方が納得できる金額で折り合いをつけることになります。
4. 重要な説明不足・虚偽説明があった場合(契約不適合・錯誤・詐欺など)
- 不動産会社や相手方から、
- 重要な事実を隠されていた
- 事実と異なる説明を受けていた
といった場合は、
- 契約の解除
- 損害賠償請求
が認められることもあります。
ただし、これを主張するには、
- 契約書・重要事項説明書・メールなどの証拠
- 専門家による法的判断
が必要になるため、弁護士等への相談が前提になります。
「やめたい」と思ったときの時系列別・現実的な対応策
① まだ買主が決まっていない段階(媒介契約だけ)
この段階なら、
- 媒介契約の解約=売却活動のストップ
で済みます。
【対応】
- 売るのをやめる/一旦中断する/会社を変える
いずれの選択も比較的自由度が高い - 媒介契約書を確認し、
実費精算や特約がないかだけチェックして、不動産会社に正直に伝える
② 買主が現れて「条件交渉中」の段階(まだ売買契約前)
この時点で「やめたい」と思ったなら、まだ間に合うことが多い段階です。
【対応】
- 躊躇せずに、不動産会社へ「今回は見送る方向で考えたい」と伝える
- ここで無理に契約まで進めると、後々「やっぱりやめたい」となったときのコストが一気に増える
③ 売買契約を結んだ直後〜決済前
最も「やめたい」が出やすいのがこの期間ですが、
一番慎重さが必要なフェーズでもあります。
【対応のステップ】
- 契約書を読み、「手付解除」「違約」「損害賠償」の条項を確認
- どうしてやめたいのか(生活・家族・仕事・健康などの事情)を整理
- 不動産会社・場合によっては弁護士に相談し、
- 手付解除の可否
- 損害賠償リスク
- 買主との話し合い余地
を確認する
- 条件次第で、
- 手付倍返しをして解約
- 解約ではなく「条件変更」(引き渡し時期の延長など)で落としどころを探る
などの選択肢を検討
専門家コメント
ホームワーク株式会社
代表取締役(不動産売買・売却相談担当)
「『やっぱり売るのをやめたい』というご相談は、
媒介契約の段階から、売買契約の直前・直後まで、実務では少なくありません。
ポイントは、
・まだ“売るかどうか”を決める段階なのか
・すでに“誰かと約束を交わした”段階なのか
を冷静に切り分けることです。
不動産会社との媒介契約なら、
売主さまの事情でやめること自体は難しくありません。
一方で、買主との売買契約を結んだ後は、
単なる気持ちの変化で“なかったこと”にするのは難しく、
手付金や損害賠償といった現実的なコストが伴うことが多いです。
迷いが大きいときほど、
売買契約を結ぶ前に一度立ち止まり、
家族や専門家に相談したうえで決めることをおすすめします。」
よくある質問(FAQ)
Q1. 媒介契約を結んだだけで、売却をやめても大丈夫ですか?
A. 原則として大丈夫です。
売主都合で媒介契約を途中終了することは可能です。
ただし、広告実費などを特約で定めている場合は、
その範囲で費用が発生することがあります。
Q2. 売買契約を結んだあと、「やっぱり住み続けたくなった」場合、解約できますか?
A. 売主側の心変わりだけでは、自由に解約はできません。
- 手付倍返しでの解約が契約書上認められているか
- 買主との合意解約が可能か
- 損害賠償のリスクはどの程度か
を確認したうえで判断する必要があります。
Q3. 手付金を返せば解約できると思っていましたが、倍返しと言われました。本当ですか?
A. 多くの売買契約書では、
売主からの手付解除の場合「手付金の倍額を返還」と定めています。
契約書の「手付解除」の条項を必ず確認してください。
Q4. 買主から『もうローンの準備もしているから、解約は困る』と言われました。どうしたらいいですか?
A. すでに買主側にも費用が発生している段階では、
- 完全な解約
- 条件変更(引き渡し時期の延期など)
どちらが現実的かを含め、
不動産会社・弁護士と相談しながら、話し合いの余地を探る必要があります。
Q5. 不動産会社との信頼関係が壊れたので、売却は続けたいが会社だけ変えたいです。可能ですか?
A. 可能です。
媒介契約を解約し、別の会社と新たに媒介契約を結ぶことができます。
その際、
- 現在の会社との契約期間・解除条件
- 広告実費等の精算
を確認してから動くとスムーズです。
Q6. 売買契約前ですが、不動産会社から『もう他に買いたい人はいません、今逃したら売れませんよ』と言われて不安です。
A. 「今逃したら…」と強く急かす営業には注意が必要です。
- 一度持ち帰って家族と相談
- 別の不動産会社にも意見を聞く
など、時間と第三者の視点を挟んでから決めることをおすすめします。
Q7. 途中解約でトラブルになりたくありません。事前にできる予防策はありますか?
A.
- 媒介契約:契約前に「途中でやめたくなったらどうなりますか?」と聞いておく
- 売買契約:本当に売って良いか、家族・資金計画・将来のライフプランを確認してからサインする
この2点だけでも、「やめたいのにやめられない」という事態はかなり防げます。
Q8. まず何から始めればいいですか?(すでに売るのをやめたいと思っている場合)
A.
- 自分が止めたいのは「媒介契約」か「売買契約」かを整理
- 該当する契約書(媒介契約書/売買契約書)を読み、
- 解除条項
- 手付金
- 違約・損害賠償
の部分をチェック
- 不動産会社・必要に応じて弁護士・専門窓口へ相談し、
- 解約の可否
- かかる費用・リスク
- 他の選択肢(条件変更など)
を聞いたうえで、最終判断をするのがおすすめです。
千代田区で不動産売却をご検討の方へ
不動産売却は、
流れを理解したうえで進めることで
不安と失敗を大きく減らせます。
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