大規模修繕をしていない物件、そのまま売れるのか?

お金

【結論】大規模修繕していなくても「売ること自体は可能」。ただし“修繕状況を整理せずに売る”と、値下げ・長期化・トラブルの3重苦になりやすい

マンションでも戸建てでも、

  • 「そろそろ大規模修繕の時期だけど、まだしていない」
  • 「修繕積立金も十分とは言えない」
  • 「外壁や共用部がかなり古びてきている」

といった物件でも、売却そのものは可能です。

ただし、大規模修繕の状況をあいまいにしたまま売り出すと、

  • 内覧のたびに「このまま住んで大丈夫?」と不安を持たれる
  • 買主側から「将来の修繕リスク」を理由に大幅な値引きを求められる
  • 契約後に「聞いていた話と違う」とトラブルになりやすい

というデメリットが出てきます。

一方で、

  1. 「過去にどんな修繕をしてきたか」「今後どんな計画があるか」を整理する
  2. その内容を前提に、価格・売り方・買主への説明方針を決める
  3. 必要に応じて“部分的なリフォーム+情報開示”で不安を下げる

この3ステップを踏めば、

  • 不必要に安売りせず
  • 契約後のトラブルを避けながら

「大規模修繕をしていない」という弱点を織り込んだ、納得感のある売却が可能です。

以下で、ホームワーク株式会社(リフォーム・修繕・再生を専門とする会社)の視点から、
大規模修繕をしていない物件の「現実」と「売る前に必ず確認すべきポイント」を整理します。


目次

なぜ「大規模修繕していない物件」は敬遠されやすいのか

理由① 将来の“追加費用”が読みにくいから

買主の一番の不安は、

  • 「買ったあと、すぐに数百万円〜の修繕費を請求されるのでは?」
  • 「大規模修繕一時金」「特別徴収」などが急に発生するのでは?

という“見えない出費”です。

大規模修繕が長年行われていないと、

  • 外壁・防水・屋上・配管など、見えない部分の劣化が進んでいる
  • 修繕積立金が十分でないと、一時金徴収の可能性が高まる

ため、買主・金融機関の両方から「慎重に見られる物件」になります。

理由② 「管理が行き届いていない物件」と見なされやすいから

特に分譲マンションの場合、

  • 築20年以上なのに、一度も大規模修繕をしていない
  • または、1回目以降、予定周期を大きく過ぎている

といったケースでは、

  • 管理組合が機能していないのでは?
  • 長期修繕計画が甘すぎるのでは?

といった不安も持たれます。

「建物そのものの問題」だけでなく、
**“建物を管理する体制の問題”**としても、
マイナス評価になりやすいのがポイントです。

理由③ 金融機関(住宅ローン)の審査が厳しくなることも

  • 長期修繕計画がない
  • 修繕積立金が著しく不足している
  • 管理状態が悪いと判断される

場合、金融機関によっては、

  • 審査が厳しくなる
  • 場合によっては「融資対象外」と見なされる

こともあります。

その結果、

  • 買主候補が減る
  • 現金購入者や投資家にターゲットを絞らざるを得ない

など、市場が狭くなる影響も出てきます。


「大規模修繕をしていない物件」はそのまま売れるのか?

結論:売れるが、「何も準備しないまま売る」のは危険

  • 法律上、「大規模修繕をしていないから売ってはいけない」というルールはありません。
  • ただし、“知らなかった・聞いていなかった”という状態で買わせることは、
    契約不適合責任や説明義務違反のリスクにつながります。

売る前に、

  1. 「これまでの修繕履歴」
  2. 「長期修繕計画・積立金の状況」
  3. 「現時点で目に見える不具合」

を整理し、
“分かっていること/分からないこと”を正直に開示できる状態を作ることが大切です。


売却前に必ず確認したい5つのチェックポイント

※特にマンションの場合を中心に説明しますが、戸建てのケースにも応用できます。

1. これまでの修繕履歴(大規模・中規模・ポイント修繕)

  • 外壁塗装・タイル補修
  • 屋上防水・バルコニー防水
  • 給排水管の更新・補修
  • エレベーター・共用設備の更新

など、大規模修繕だけでなく、中規模・ポイント修繕も含めて
「いつ・どこを・どの程度」修繕したかを確認します。

【確認資料の例】

  • 管理組合の総会議事録
  • 修繕工事の報告書
  • 管理会社からの案内文書

「一度も大規模修繕をしていない」場合でも、
細かい修繕を継続的にしているケースもあり、
その情報は買主にとってプラス材料になります。

2. 長期修繕計画の有無と内容

  • 長期修繕計画が作成されているか
  • どのタイミングで、どの部位の修繕を予定しているか
  • それに対して、修繕積立金がどの程度足りているか

【ここが重要】

  • 計画そのものがない → 管理意識への不安材料
  • 計画はあるが積立不足 → 将来の一時金リスク
  • 計画+積立がバランスしている → 買主にとって安心材料

「大規模修繕をまだしていないが、計画と積立方針はしっかりある」
という状態なら、買主への説明もしやすく、評価もブレにくくなります。

3. 修繕積立金・管理費の水準

  • 修繕積立金が極端に安すぎないか
  • 管理費・積立金の滞納率はどうか(管理会社に確認できる場合も)
  • 近隣・類似マンションと比べて水準は適正か

積立金が明らかに不足している場合:

  • 「近い将来、値上げ」「一時金徴収」の可能性が高い
  • そのリスクを買主にどう伝えるかがポイントになります。

4. 現時点で見える劣化・不具合

  • 外壁のひび割れ・タイルの浮き・落下の危険性
  • 屋上・バルコニーの防水の劣化(雨漏りの有無)
  • 廊下・階段の床の傷み
  • 室内の雨漏り跡・カビ・結露など

これらは、リフォーム会社・建築士による現地チェックを受けるのが理想です。

ホームワーク株式会社では、

  • 「このまま住み続けて問題ないレベルなのか」
  • 「売る前に最低限ここは直した方がいい」

といった**“現実的なライン”**を整理したうえで、
売却戦略を立てるお手伝いをしています。

5. 戸建ての場合:屋根・外壁・基礎・給排水の状態

戸建ての場合は管理組合がないため、
所有者自身が“管理組合”の役割になります。

  • 外壁塗装はいつ頃行ったか(または一度もしていないのか)
  • 屋根材・雨樋・シーリングの劣化状況
  • 基礎のひび割れ・床の傾きの有無
  • 給排水管のトラブル履歴(漏水・詰まりなど)

「大規模修繕」という形ではなくても、
**“長期的なメンテナンスをしてきたのか/完全放置か”**で、
買主の評価は大きく変わります。


「そのまま売る vs 一部手を入れてから売る」判断の考え方

そのまま売る場合のポイント

【メリット】

  • 初期コストを抑えられる
  • 売却までのスピードを重視できる
  • 売却後の修繕は買主に委ねられる

【デメリット・注意点】

  • 「修繕していないこと」を前提に価格が評価される
  • 買主の不安が大きく、値引き交渉が入りやすい
  • 契約前に、将来の修繕リスクを誠実に説明する必要がある

向いているケース:

  • 売却を急ぎたい
  • 自分で修繕コストを負担する余裕があまりない
  • 立地や広さが魅力で、“多少の修繕リスクを許容する買主”が見込める

一部手を入れてから売る場合のポイント

【メリット】

  • 「見た目」の印象がよくなり、内覧時の不安が減る
  • 雨漏りなど致命的な不安要素を事前に解消できる
  • 大幅な値引き交渉を避けやすくなる

【デメリット・注意点】

  • 初期のリフォーム費用がかかる
  • 費用に見合う価格アップ・販売スピードアップが見込めるかの検証が必要

向いているケース:

  • 雨漏り・ひび割れなど、買主が即NGを出しそうな不具合が明らかな場合
  • 立地が良く、少し手を入れることで相場に近い価格を狙える場合
  • 投資家だけでなく、自宅用の買主もターゲットにしたい場合

ホームワーク株式会社では、

  • 「何もしないで売る場合」
  • 「最低限ここだけ直して売る場合」
  • 「しっかりリフォームして売る場合」

の3パターン程度で、

  • かかるコスト
  • 期待できる売却価格
  • 売却までの期間の目安

数字でシミュレーションし、
どのパターンがもっとも合理的かを一緒に検討します。


ホームワーク株式会社が実際に対応した事例(要約)

※プライバシー保護のため、エリアや条件は一部加工しています。

事例①:築25年・一度も大規模修繕していないマンション(東京都郊外)

  • 状況
    • 築25年・50戸規模の分譲マンション
    • 管理組合としての大規模修繕は未実施
    • 外壁に一部ひび割れ、エントランス周りの老朽化が目立つ
    • オーナー様は住み替えのため売却希望

【対応】

  1. 管理会社から資料を入手
    • 長期修繕計画は存在
    • 修繕積立金は不足気味だが、将来の値上げ方針あり
  2. 共用部の写真・状態を確認し、
    • 「現状のままで重大な危険はないが、近い将来の大規模修繕はほぼ確実」
      と整理
  3. 室内については、
    • 設備交換+内装リフレッシュリフォームを実施
    • 共用部の古さを、室内の“きれいさ”である程度カバー
  4. 販売戦略
    • 価格は相場−約5〜8%程度に設定
    • 将来の大規模修繕・積立金値上げ予定については、
      重要事項説明・契約書特約で丁寧に開示

【結果】

  • 売出から約2ヶ月で成約
  • 買主は「室内の状態」「立地」「将来の修繕リスク」すべて理解したうえで購入
  • 売主も、大幅な値下げ交渉を避けつつ納得のいく価格で売却

事例②:築30年以上・外壁塗装未実施の戸建(首都圏郊外)

  • 状況
    • 築30年以上の木造戸建
    • 外壁塗装は新築時から一度もしていない
    • 屋根の一部で雨染みが見られる
    • そのまま売ると「ボロ家」の印象が強い状態

【対応】

  1. 現地調査で劣化状況をチェック
    • 構造自体はまだ問題なし
    • 外壁と屋根周りのメンテナンスで延命可能と判断
  2. 2パターンを比較
    • 何もせず売却 → 早期売却は可能だが、相場−20%程度
    • 外壁・屋根の塗装+一部内装リフォーム → コスト約150万円、想定価格は相場−5〜7%
  3. シミュレーションの結果、
    「外壁・屋根をきちんと直してから売る」方が手取りが多くなると判明

【結果】

  • 外壁・屋根+室内の一部リフォーム後に売却
  • 見た目の安心感が大きく、家族世帯からの反応が増加
  • 相場−約5%で売却成立し、
    「放置売却をした場合よりもトータルで数十万円以上手取りが増えた」ケースとなった

専門家コメント(ホームワーク株式会社)

ホームワーク株式会社
(大規模修繕・リフォーム・空き家・相続不動産の再生を多数手がける会社)

「『うちのマンション、まだ一度も大規模修繕をしていなくて…』
『外壁もそろそろ限界っぽいけれど、そのまま売って大丈夫でしょうか』

というご相談は、本当に多くいただきます。

ここでお伝えしたいのは、

  • 大規模修繕をしていない=即アウトではない
  • ただし、“状況を説明できないまま売る”のが一番危ない

ということです。

私たちが現場で重視しているのは、

  1. これまでの修繕履歴・長期修繕計画・積立金の状況を一緒に整理すること
  2. 建物の現状をプロの目で確認し、「本当に危険なのか」「どこまで直せばいいか」を明確にすること
  3. そのうえで、
    • 何もしないで売る
    • 最低限直して売る
    • しっかり直して売る
      の複数パターンを数字で比較し、ベストに近い選択肢を考えること

です。

“修繕していないこと”自体よりも、
“修繕していないことをどう伝え、どう織り込んで売るか”の方が、
売却の成否を大きく左右します。

大規模修繕の有無に不安を感じたら、
売るかどうかを決める前の段階で、
一度、現状整理とシミュレーションだけでもご相談いただければと思います。」


よくある質問(FAQ)

Q1. 大規模修繕をしていないと、法律的に売ってはいけないのですか?
A. いいえ、法律上「大規模修繕をしていない物件は売却禁止」という規定はありません。
ただし、管理状況や将来の修繕リスクについて、
買主に誠実に説明する義務(重要事項説明・契約不適合責任への配慮)はあります。

Q2. 大規模修繕をしていないことは、必ず買主に告げなければいけませんか?
A. 「大規模修繕をしていない」という“事実”そのものをどう表現するかはケースによりますが、

  • 長期修繕計画の有無
  • 修繕積立金の状況
  • 管理状況
    など、判断材料となる情報は開示する必要があります。
    実務上、多くの買主から「これまでの修繕履歴」を聞かれますので、あらかじめ整理しておくことが重要です。

Q3. 将来の大規模修繕の一時金が発生しそうな場合、それも説明が必要ですか?
A. 「すでに一時金の徴収が決まっている」場合は当然説明が必要です。
まだ決定していなくても、
長期修繕計画や管理組合の方針から「高い可能性がある」と分かっているなら、
トラブル防止の観点から、一定程度触れておくほうが安心です。

Q4. 大規模修繕をしていないマンションは、住宅ローンが通りにくいですか?
A. 物件にもよりますが、

  • 長期修繕計画がない
  • 極端な積立不足
  • 管理会社の評価が低い
    といった要素が重なると、金融機関の評価が厳しくなることがあります。
    逆に、計画と積立がある程度しっかりしていれば、
    「未実施=即NG」にはなりません。

Q5. 戸建てで外壁を一度も塗り替えていません。そのまま売っても大丈夫ですか?
A. 売ること自体は可能ですが、
外壁・屋根の劣化が進んでいる場合は、

  • 価格が大きく下がる
  • 買主からの値引き交渉材料になる
    ことが多いです。
    構造への影響の有無を確認し、
    最低限の補修をするか、その分価格に反映させて売るかを検討する必要があります。

Q6. 大規模修繕前に売ったほうがいい?それとも、終わってから売るほうがいい?
A. ケースバイケースです。

  • 修繕負担金が大きい → 前に売る選択も
  • 修繕後は資産価値・印象が上がる → 終わってから売ると高く売れる可能性
    などがあります。
    修繕費の負担額と、修繕後の期待価格アップを比較して判断するのが合理的です。

Q7. まず何から相談すればいいですか?
A. 次の3点が分かれば、初回相談には十分です。

  1. 物件の種類と所在地(マンション/戸建て・市区町村)
  2. 築年数と、これまでの大まかな修繕履歴(覚えている範囲でOK)
  3. いつ頃までに売却したいか、またはまだ迷っているのか

この情報をもとに、ホームワーク株式会社が、

  • 建物状態の確認
  • 管理・修繕状況の整理
  • 「何もしない/少し直す/しっかり直す」の3パターン比較

を行い、「大規模修繕をしていない」という前提込みで、
最適に近い売却プランを一緒に考えていくことができます。

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